山の日レポート
自然がライフワーク
【連載】地域とコラボ!里山再生⑤針葉樹皆伐跡地の広葉樹林化 ―20年の歩みと現在の到達点― (6/7)
2025.01.25
えひめ千年の森をつくる会は設立時当初から参加者のノルマはなく、興味・関心・その時の体調に合わせて好きなだけ参加することを原則にしています。会員歴の長短、森林技術の巧拙、参加態度の熱心不熱心等一切の評価をしていません。森林ボランティアというと未経験者にとっては敷居が高いものですが、安心して取り組める状況づくりに配慮しています。
参加者はこのような環境に置かれ、心の余裕ができ、ありのままの自分に出会ったときに、ふと自分の本来の使命は何なのかを考えるようになります。
私たちは活動の始めと終わりの、全員参加の発表会を大切にしています。始めの会ではこの1か月の出来事や考えたこと、今の気持ちなどを話します。終わりの会では今日1日千年の森の活動に参加した感想を述べます。このことによって参加者一人一人の意識の共有化ができ、共通理解が進みます。
これらを積み重ねてきた結果、えひめ千年の森をつくる会の6つの柱のうち第5ありのままの自分に出会う場と第6未来循環型生活の提案への期待が大きくなっています。千年の森は森林体験の場としてかけがえのない森に成長しつつあります。
月に一度第3土曜日を原則に、遊歩道の手入れ、笹刈り、ツル切りを行っています。高齢化した私にとって10haの森林の上記作業はやっとで仲間に支えられて進めています。
随時森林観察や森林体験の機会を設けています。私たちにとって山に入ることは日常化しており当然のことなのですが、都市部から活動に参加して初めて山に入った人の感動はそれだけで大きいようです。私は欲張って、森林生態系の多様な機能とサービスの関係、森林の発達段階と機能の変化等を伝えていますが参加者はそれらを理解して森づくりの参考にしています。
裸山に植林していたころは境界が一目瞭然だったのですが、20数年を経た今日ではわかりにくくなっています。市役所から番号の入った地図を購入して現地確認しているのですが杭が埋もれていてなかなか見つかりません。見つかったとしても番号が消えています。GPSを利用して進めなければならないので一大事業ですが重要な活動です。
現存の森林が更新を繰り返しながら千年後も森林であり続けるようにすることです。したがって屋久島の千年を超えたスギが生える森林も、全国各地の苗木を植えたばかりの幼い森林も、それを守り育てていこうとする人々がいる限り、ともに千年の森なのです。全国各地の森林を大切に思う人たちによって必要に応じた千年の森がつくられていくことを願っています。
えひめ千年の森をつくる会は①森づくり、②世界に開かれた木炭学校、③自然農法実践農場、④安全な食・農林産物の加工が学べる場、⑤ありのままの自分に出会う場、⑥未来循環型自給を目指した生活の提案の6つを柱にしています。
-24年間継続できている理由
理念がしっかり示されて、私益を求めた活動でなければ人は集まると思います。事務局長が代わることなく24年間続けていることも会が継続できている重要な理由です。私が千年の森をつくる会の会長であったため、2001年にえひめ森林ボランティア連絡協議会設立当初からその会長も務めました。
2003年四国4県と四国森林管理局の主導で四国「山の日」が制定され、また2005年に四国の森づくりネットワークが設立されました。それらの委員長、会長も務めた関係で、事務局もついてきたために事務量は膨大でしたがえひめ千年の森をつくる会の事務局長が兼任で努めてきました。一般に組織は事務局に左右されることは明らかになっていますが森林ボランティアの場合とくに強く感じます。
植樹祭は別として、規模を大きくしなかったことも継続できている理由の一つと思われます。活動内容に応じて、適正な規模での活動になっているように思われます。現在は10名位でゆっくり活動しています。
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