山の日レポート
通信員レポート
「山の恵みの映画たち2024」開催レポート⑥
2024.12.06
11/22~24開催したミニ映画祭「山の恵みの映画たち2024」の中で、各作品の上映がどのように行われたかについて、上映を担当した実行委員からご報告します。※担当原文引用
「山の恵み2024」3日間全6作品のトリを務めたのは、知られざるイワナの生態に迫る『ミルクの中のイワナ』。山と人、自然と人とのつながりを多面的に捉え直す「山めぐ」にふさわしい締めの作品でした。
スクリーンを通して美しい映像と音楽に浸りイワナの生き様を体験した後は、坂本麻人監督のトークをたっぷりと。都市部で育った幼少期の原体験から本作制作に至る軌跡、西洋医学と東洋医学のメタファーで語られる河川「治療」のあり方、ヘンリー・ソロー『森の生活』に由来するタイトルに込めた想いなど、興味深いエピソードのオンパレード。客席からの質問にも丁寧に答えてくれました。
カメラの田中和也さんは北海道でのイトウ撮影時の苦労をユーモアを交えて披露してくれました。
印象的だったのは、坂本さんの口から繰り返し発せられた「人と自然との伴走」というフレーズ。「原生の自然」という幻想に囚われることなく、自然と人とを二項対立から脱却し、生き物としてどう自然と関わってゆくか。こうした観点からイワナ(およびイワナが象徴する自然)の保全を考える視座を与えてくれたように思います。
この作品には第一線の研究者による知見が語られるが、それは唯一絶対の「答え」を提示するものではない。むしろ問いを投げかけ、思考と対話を促すメディアとしての可能性が映画にはあるのだと語っていたのも印象的でした。
この映画は「イワナ」についての映画ではなく、「イワナとわたしたち」についての映画なのだとあらためて感じました。
トークの最後には撮影中の新作についても予告を。なんと、山形県の県魚でもあるサクラマスがメインキャストとのこと!うーむ、これは大注目ですね。
トーク終了後、作品の問いをさらに掘り下げるfilm bookは20部が即時完売。ご用意が少なく申し訳ありません!film bookは作品公式ストアでも販売しています。
https://trout-inthe-milk.stores.jp/items/65fe36789391c408f8a24a22
坂本さん、田中さん、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。また川で、劇場でお会いしましょう。
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