山の日レポート
通信員レポート
「山の恵みの映画たち2024」開催レポート⑤
2024.12.05
11/22~24開催したミニ映画祭「山の恵みの映画たち2024」の中で、各作品の上映がどのように行われたかについて、上映を担当した実行委員からご報告します。※担当原文引用
上映前日、彼らは山に行くように劇場に現れた。大きなザックにトレッキングシューズ、柔和な笑顔。「あぁ!来てくれた!」その瞬間を忘れない。
2022年公開当時、仙台で封切り上映を観た。クライマーとしての活動を追うばかりでなく、山野井泰史さんの今有る姿を多方面から描いている。なんと眩しい生き方の人だろう!
『登壇ゲストとして来て欲しい』配給側へ繋いだ。難しい交渉の末、武石監督から「山野井夫妻揃って山形来てくれますよ」と連絡をもらった時には感無量。既に彼らの来場による映画祭の成功を確信した。
映画祭会場となったフォーラム山形は、山野井夫妻登場に騒然となり、最高に盛り上がる空気を感じた。
いよいよ当日、上映2時間前、8時には「絶対山野井さんに会いたい」入場待ちの列が出来始める。5番シアターは200名収容だが、追加補助椅子が出るほどの盛況だ。
10時上映開始、難関ルートへの挑戦シーンなど彼らに密着した貴重映像に会場は息を呑む。山野井さんと妙子さんの暮らしに入り込んだ場面では、こちらまでニコニコしてしまう。こんな素敵な作品を作ってくれた監督に感謝だ。
待ちかねたアフタートーク、聞きたいことは山ほどあるが時間は限られている。
武石浩明監督には、撮影時に様々な方向からアプローチした経緯を教えてもらい、本作が出来上がるまでを知ることが出来た。
山野井妙子さんには、山に開眼した高校時代や山野井さんに同行する際の彼の慎重さ、普段の暮らしについて教えてもらった。大好きな釣りに没頭する醍醐味についても。現在山と渓谷にて連載中「凪の人」ライター柏澄子さんも応援来場だ。
山野井泰史さんは、とても気さくに雄弁に自分自身のことを語ってくれた。中学、高校、とにかく山と岩に登ることだけ考えていた。父親とは大喧嘩もしたが母親はその行動を尊重してくれていたと話す。難関ルートをアルパインスタイルソロ、他者を寄せ付けない挑戦は自身が追い求めたから。ピオレドール生涯功労賞受賞については、何とも思っていない風でそれも納得してしまう。
後進の登山家に掛ける助言を請うと『危ないから勧めない』と率直な感想だった。多くの友人を亡くしている気持ちを指し測るコメントだ。県人登山家飯澤政人さんにも発言してもらったが、挑戦の際には必ず無事に帰って来て欲しい。低山ハイクの私たちにも「慎重に」は大切なことだ。
『著作にサインをいただけますか』との問いに『この場面で断れないでしょ、上手いねー』と会場を沸かせた。長蛇の列、丁寧に対応するその姿は誠実なお人柄を表している。サインをもらった私の愛蔵本と実行委員のTシャツは宝物になった。
2人が立っているだけ(特に大きなザックを背負っていると)で体幹の強さが際立つ。そうやって長距離を歩き高度を上げていくのだ、その姿を見れただけでも感動だった。
妙子さんの荷物から取り出されたのは、実行委員へのお土産『早生みかんなの、見た目は悪いけど』なんということでしょう!作中のあの木ですよ!一同感激、大切に分けていただいた。
『人生クライマー』上映に来てくださった方々からはたくさんの感想をもらっている。「上映もトークも良かった」「サインはとても記念になった」「山野井さんの瞳のキラキラしたこと!」「妙子さんの滲み出る優しさに癒された」
関わってくださった全ての方に、心より御礼申し上げます。(髙橋)
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