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通信員レポート
「山の恵みの映画たち2024」開催レポート③
2024.12.03
11/22~24開催したミニ映画祭「山の恵みの映画たち2024」の中で、各作品の上映がどのように行われたかについて、上映を担当した実行委員からご報告します。※担当原文引用
今からちょうど10年前の「山の恵みの映画たち」第1回目でも上映され、満席立ち見の熱気から伝説と化していた本作。
そして、その第1回目のトークゲストでもあった田口洋美先生をリモートでお繋ぎしてのこの機会。まず上映に先立ち、この「山の恵みの映画たち」や山形国際ドキュメンタリー映画祭発足に奔走するなど山形の映画文化に多大な功績を遺し、2年前に亡くなった髙橋卓也さんへの追悼と感謝を込めて上映しますと満席の皆さんに向かってご挨拶させていただきました。
スクリーンに鮮やかに甦った三面の風景や四季とともにある人々の暮らし。
今年デジタル化によって全国各地で上映され、どこも大盛況とのこと。
映写室から上映中の様子を見ながら、あらためてこの失われた山の風景に今わたしたちが心魅かれるのはなぜか、10年前よりも切実にこの映画が響くのはなぜだろうかと思う。
上映後は、三面に近い山形県小国町でマタギとして狩猟を行う蛯原一平さんと、急遽ご登壇いただけることになった奥さんで同じくマタギの紘子さん。そして、紘子さんに抱っこされた4カ月の赤ちゃんと4歳の、めちゃくちゃかわいい二人のお子さんが揃って登場。思わずZOOM越しで大スクリーンに映る田口先生の目尻も下がる。
田口先生と蛯原さんご夫妻の話を伺っていると、コストという言葉では測れない経世済民の考えや渋沢敬三、宮本常一からの系譜が感じられる。
田口先生から当時の撮影時のことや蛯原さんが狩猟をする中で感じることなど貴重なお話に続いて、先ほどふと抱いたこの映画があらためて人々に求められている理由を尋ねると、一平さんの答えてくださった劇中に映し出された三面の人々の「祈りの丁寧さ」という言葉が強く心に残った。
お三方のお話はどれも興味深く、こちらも聞きたいことだらけで、まったく時間が足りなかったのですが、現代の生きにくさや子どもたちへの教育についての話題の最中、それまで席を離れていた蛯原さんの4歳のお子さんが紘子さんに向かって歩く姿に、なんだか柔らかな未来そのものが目の前を歩いていったようで、司会をしながら思わず泣きそうになりました。
また、当日は姫田忠義監督のご子息で民映研理事の蘭さんが全くのサプライズでご来場くださり、本当に有難いかぎりでした(たまげました)
個人的にはあらためて山の恵みとは一体なんだろうかと、自然からの贈与とはなんだろうかと自分なりの宿題を、そしてご来場くださった皆さん各々にも何か気づきのある上映会になったのではないかと思います。
(若い方の来場が多かったのも希望のように思えました)
田口先生、蛯原家の皆さん、蘭さん、そして、ご来場くださったみなさん本当にありがとうございました!
(髙橋さんにもこれならちゃんと報告できるんじゃないかなと正直ホッとしています。ホッとし過ぎて翌日寝坊しましたが笑)(堀)
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