閉じる

ホーム

  •   
  •   

閉じる

山の日レポート

山の日レポート

通信員レポート

「キノコの女王」キヌガサタケ

2024.09.29

全国山の日協議会

長野県松本市 湯田彰夫さんからのレポートです

キヌガサタケは主に竹林に発生します

かねがねキヌガサタケというキノコを見たいと思っていました。
白いレースのベールをまとったような姿から、「キノコの女王」と呼ばれています。
群馬県太田市の金山(かなやま、標高239m)でキヌガサタケが発生しているという情報があり、9月23日に出かけてきました。

樹齢800年と言われる本丸下の大ケヤキ

万葉集に歌が載るほど昔から知られた山で、室町時代から安土桃山時代にかけて山城が築かれていました。
場所柄、上杉、武田、北条に攻められ、新田義貞を始祖とする城主の由良氏が北条方に付いていたため、秀吉の小田原征伐後は廃城となりました。
現在は石垣などの遺構が整備され、周囲の山域と合わせて人気のハイキングコースになっています。

本丸の裏手に残る築城当時の石垣

キヌガサタケは頭を出してからベールが広がりきるまで、たった三、四時間という成長の速いキノコで、
その後は半日くらいで倒れて朽ちてしまうそうです。この日、綺麗な状態で見ることができたのは一本だけ。
倒れて朽ちかけているものや、立ってはいるもののベールが崩れてしまっているものは五本ほど確認しました。
一本だけとは言え美しいキヌガサタケを見ることができ、二時間半かけて出かけた甲斐がありました。

キヌガサタケ

キヌガサタケは悪臭を放つことも有名なので、先端部分に鼻を近づけじっくり嗅いでみました。
確かに嫌な臭いがしますが、年を取って感覚が鈍くなっているためか、想像していたよりはマイルドな感じでした。
胞子を風で飛ばすのではなく、虫に運ばせるために悪臭を放っておびき寄せていると考えられています。
悪臭ではありますが、とてもうまい食材になるそうです。

先端から分泌されるグレバと呼ばれる粘液が悪臭を放ちます

キヌガサタケ、撮影中

番外:茅ヶ岳のタマゴダケが当たり年

SNS等を見ていると、今年はタマゴタケが当たり年とか。
昨年観察することのできた茅ヶ岳の登山記録を見ると、ここ数日、何人かの人がタマゴタケの写真をあげています。
ということで、ちょうど一年ぶりに行ってきました。
歩きはじめるとすぐにタマゴタケがわらわら出てきます。
最初のうちは遭遇するたびに写真を撮っていたのですが、途中からは「よい形だね」「綺麗だね」と言いながらスルーです。
昨年は5つくらい見ただけで、大はしゃぎだっだのですが。
卵から顔を出したばかりの幼菌から成菌まで、色々な段階のタマゴタケを軽く三桁は見ることができ、一生分見てしまった感じです。
昨年はほぼコースタイム通りの4時間半で下山しましたが、今年は写真を撮るのに忙しく6時間もかかってしまいました。

殻を破って成長していることろ

二つ並んだ成菌

RELATED

関連記事など