閉じる

閉じる

山の日からのお知らせ

山の日からのお知らせ

EVENT

【開催報告①】「国際山の日」2025シンポジウム

2025.12.08

全国山の日協議会

12月6日、「国際山の日」2025シンポジウム『山と水 ― 氷河と流域社会を考える』を開催いたしました。
2025年は、国民の祝日「山の日」が制定されて10周年。
そして、私たち全国山の日協議会が、国連のMountain Partnership(マウンテンパートナーシップ)へ正式加盟を果たした、記念すべき年でもあります。
今回は、オープニングのメッセージを中心にご報告します。

開会挨拶:全国山の日協議会 会長 谷垣 禎一

シンポジウムの幕開けは、当協議会の谷垣禎一会長の挨拶から始まりました。
谷垣会長の言葉で特に心に残ったのは、「山と水、そして私たちの暮らしは、ひとつの大きな循環の中にある」というメッセージです。
「水は、すべての生命の源です。その水を生み出し、育んでいるのが『山』なのです」
谷垣会長は、山が単なる風景ではなく、私たちの社会や文化、生態系そのものを支える土台であることを強調しました。
そして、この10年という歳月を経て、私たちが国連のマウンテンパートナーシップの一員となったことの意味――それは、日本の知見を世界へ発信し、世界の課題を共に解決していく「新たなステージ」に立ったことを意味しています。
「科学者も、市民も、行政も。皆で知恵を持ち寄り、山と水の価値を再発見する日にしましょう」
その呼びかけに、会場全体が静かな熱気に包まれました。

ビデオメッセージ:全国山の日協議会 会長 谷垣 禎一

FAOからのエール。「氷河の危機」は「私たちの危機」

ビデオメッセージ:ジョルジオ・グルッス氏(FAO / マウンテンパートナーシップ事務局プロジェクトコーディネーター)

続いてスクリーンに映し出されたのは、ローマの国連食糧農業機関(FAO)本部からのビデオメッセージです。マウンテンパートナーシップ事務局のジョルジオ・グルッス氏が、私たち日本の新たな仲間入りを、とても温かい言葉で歓迎してくれました。
彼が語った2025年の国際山の日のテーマは、
「Glaciers Matter for Water, Food and Livelihoods(氷河は、水、食料、暮らしのために重要である)」。
日本にいると「氷河」は遠い存在に思えるかもしれません。しかし、グルッス氏の指摘にはハッとさせられました。
世界では約20億人もの人々が、山からもたらされる水に依存して暮らしています。気候変動による氷河の融解や雪不足は、遠い国の出来事ではなく、地球規模の「水不足」「食料危機」に直結しているのです。
山の知恵が、未来を救う
しかし、メッセージは危機感だけではありませんでした。グルッス氏は、山岳地域に古くから伝わる「段々畑」や「アグロフォレストリー(森林農業)」といった伝統的な知恵こそが、気候変動に立ち向かう鍵になると語りました。
また、マウンテンパートナーシップが進める、
山岳産品の認証制度(ラベリング)女性たちが主役の起業支援など
ワクワクするような取り組みも紹介されました。
グルッス氏の言葉からは、山岳地域が持つ可能性と、そこに関わる人々への深い敬意が感じられました。

ビデオメッセージ:ジョルジオ・グルッス氏

これからの10年へ向けて

日本で「山の日」が生まれて10年。
谷垣会長が語った「山」への感謝と、グルッス氏が語った「水」。
この二つの視点が交差したとき、私たちがこれからやるべきことが見えてきた気がします。
水は、山頂から海へ、そして国境を越えて私たちをつなぎます。
このシンポジウムを通じて確認した「山と水のつながり」を、次の世代へ、そして世界へと広げていくために。
全国山の日協議会は、これからも皆様と共に歩み続けます。
ご参加いただいた皆様、ご支援ご協力いただいた皆様、
そして想いを寄せてくださったすべての皆様、
本当にありがとうございました。

全国山の日協議会 理事 むらかみみちこ

右:司会進行 全国山の日協議会 理事 むらかみみちこ 

ご支援ご協力いただいた皆様

「国際山の日」2025シンポジウム  『山と水 ― 氷河と流域社会を考える』

◼後  援:国土交通省、林野庁、環境省、山形県、静岡市、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本山岳ガイド協会、日本山岳・スポーツクライミング協会
◼特別協賛:中部電力株式会社
◼協  賛:株式会社金華山観光
◼特別協力:総合地球環境学研究所、筑波大学山岳科学センター
◼全国山の日協議会オフィシャルパートナー:味の素株式会社、株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
◼主  催:公益財団法人全国山の日協議会

左から 基調講演松田治氏 梶理事長 鹿野科学委員会副委員長 渡辺科学委員会委員

RELATED

関連記事など