山の日レポート
通信員レポート「これでいいのか登山道」
【連載】これでいいのか登山道
2024.02.09
今回は報告書「これでいいのか登山道 第2集」に「裏磐梯の環境保全と遊歩道」についてご寄稿くださった若林鋼二さんに、その取り組みについてホームページにもお寄せ頂きました。
文・写真 若林鋼二(株式会社エイフル代表取締役)
私は埼玉県の狭山市で小さなオーディオ店を経営していたのですが、友人が裏磐梯で手打ちソバ店を始めたというので行ってみることにしました。場所は裏磐梯の桧原という寒村で、藁葺き屋根の古民家でした。田舎育ちですので羨ましく思い、どこかに空き家がないものかと尋ねたら、あるとのことでした。行ってみたら、桧原湖畔の小高い丘に立つ3階建てのコンクリート製のビルでした。
相当大きなビルでしたので、借り賃が心配でしたが、聞いてみたら現在借りているビルと大差ない額でした。広さは数倍あります。この広さならアメリカの映画館で使用されている本格的な音響装置も設置できるかなと、思い切って借りることにしました。
引越しが終わって一段落したころ、裏磐梯にある環境省の自然保護官の講演会があるとのことで参加してみました。
趣旨は、裏磐梯の至る所に咲いている黄色いオオハンゴンソウと呼ばれる花は、繁殖力が非常に強く、放って置くと周囲の草花が枯れてしまうので、村民から駆除して欲しいと言われているという内容でした。
その頃、私の妻が村会議員にならせていただいて、村のために頑張っていました。私も見習って村のところどころにあった廃屋の撤去や、五色沼の展望台の改修やゴミ拾い、浮石の撤去等を推進していましたので、この花の根絶も目標に加えることにしました。
オオハンゴンソウは黄色い可憐な花をつける美しい草花ですが、非常に繁殖力が強く、周囲の草花を枯らしてしまいます。恐ろしい草花です。裏磐梯には世界的に有名なサルバドール・ダリの絵のコレクションがある諸橋近代美術館がありますが、この中庭にオオハンゴンソウが咲き誇っていました。3~4年かけてこれを根絶させましたが、手を緩めると、また庭中がこの草花に埋め尽くされてしまうかも知れません。
裏磐梯から猪苗代に行く幹線道路の両脇もオオハンゴンソウの楽園でした。格闘後、姿が見えなくなりましたが、気を緩めるとまたはびこり始めてしまうでしょう。
裏磐梯を有名にしている名所の一つが五色沼です。私の借りているビルは桧原湖側からの入口にあって、毎日のように湖畔を散歩しています。歩き始めたころは遊歩道に浮石や枯れ枝が沢山落ちていて歩きづらかったので、毎日の散歩の時、少しずつ撤去したところ、現在は歩きやすくなっています。しかし、この作業も中断すると元の木阿弥になってしまうでしょう。弁天沼にはかなり大きな展望台がありましたが、老朽化していて壊れかけていました。村会議員の妻に頼んで、村の議会で取り上げてもらいましたら、村は県に、県は環境省に頼んでくれ、改修が実現しました。
登山道法研究会では、この度、『めざそうみんなの「山の道」-私たちにできることは何か-』という報告書を刊行しました。頒布をご希望の方はこちらをご覧ください。
【連載】これでいいのか登山道 (yamanohi.net)
報告書の頒布は、以下のグーグルフォームからも簡単にお申込み頂けます。
報告書申し込みフォーム
先に刊行致しました「第1集報告書」は在庫がございませんが、ほぼ同内容のものが、山と渓谷社「ヤマケイ新書」として刊行されています。
ヤマケイ新書 これでいいのか登山道 現状と課題 | 山と溪谷社 (yamakei.co.jp)
また、このコーナーでも、全国各地で登山道整備に汗を流している方々のご寄稿なども掲載できればと思います。
この記事をご覧の皆さまで、登山道の課題に関心をお持ちの方々のご意見や投稿も募集しますので、ぜひご意見、ご感想をお寄せください。
送り先=gama331202@gmail.com 登山道法研究会広報担当、久保田まで
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