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山の日レポート

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通信員レポート「これでいいのか登山道」

【連載33】これでいいのか登山道

2025.06.16

全国山の日協議会

よりよい山の道をめざして、私たちにできることは何だろうか?

 連載33回目となりました。前回、前々回に引き続き、登山道法研究会の重信秀年さんに「春から夏の絶景を楽しむハイキング」と題してご寄稿頂きました。今回のテーマは「海を眺めに半島や島の道を歩きに行こう」。海を望みながらの山旅を通じて「よりよい山の道」について考えてみませんか。
 皆様もぜひ、お住まいの地域や出かけた山々で感じたことなどを、ご寄稿くださいましたら幸いです(ご寄稿先メールアドレスは文末にあります)。

連載32  春から夏の絶景を楽しむハイキング 第3回

文・写真  重信秀年(登山道法研究会)

海を眺めに半島や島の道を歩きに行こう

 海に囲まれた日本には、海岸や島にも見晴らしのよい山や遊歩道があちこちにあります。歩きに行くと、いつもの「分け入つても分け入つても青い山」のような登山とは雰囲気が異なり、眼前に大海原が広がり、新鮮で壮大な気分になること必定。神奈川県南西部の太平洋に突き出た真鶴半島は、先端の三ツ石海岸まで遊歩道が整備されていておすすめです。真鶴半島の森は、江戸時代は小田原藩の御林、明治維新後は皇室御料林、戦後は国有林を経て町が管理するなど長く保護されてきたため、巨木が多く鬱蒼と茂っています。深い森を抜けて海岸に出たときの開放感は爽快です。

真鶴半島の潮騒遊歩道を歩いて、三ツ石海岸に向かう

青春小説『潮騒』の舞台、神島を一周

 伊勢湾の沖の神島は、昭和の人気作家、三島由紀夫の小説に描かれ、何度も映画化された『潮騒』の舞台になった場所。作品の中では「歌島」と呼ばれ、島に暮らす二人の若者、新治と初江のみずみずしい恋が描かれました。周囲4キロに満たない小島を自然歩道で一周すると、港の船揚場、八代神社、神島灯台、監的哨跡の建物など、小説に出てきた場所が次々に現れます。山道のようなところもありますが、歩きやすく、自然豊か。景色もよく、とくに神島灯台や監的哨跡からの眺めは絶景です。神島には三重県の鳥羽港と愛知県の伊良湖港から船で渡ることができます。

監的哨跡からは伊良湖水道を隔てて、伊良湖岬が見える

太平洋にそびえる火山、八丈富士に登る

 太平洋に南北に連なる伊豆諸島には、大島の三原山、神津島の天上山など、ハイキングや登山を楽しめる山がいくつもあります。最高峰は八丈島の八丈富士。円錐形の美しい山で、山頂からの眺めは広い海と断崖絶壁の火口を見渡して、雄大そのもの。火口を一周するお鉢めぐりもできますが、火口側は切れ落ちているため、足元に注意しましょう。雨や風の日は、お鉢めぐりは断念した方が無難です。八丈島は、温泉、玉石垣の集落、裏見ヶ滝など見所がたくさん。宿に泊まるのもよいですが、自然の好きな人にはキャンプもおすすめ。海岸に底土野営場、内陸部に八丈プラザ公園キャンプ場があります。

八丈富士の火口を一周するお鉢めぐり。左手は海、右手は火口

辺境の雰囲気が印象的な佐渡の二ツ亀自然歩道

 佐渡の北端の海岸に、二ツ亀と大野亀という海に突き出た大きな岩山があります。二ツ亀は陸繋島、大野亀は半島です。その間を結ぶ海岸に二ツ亀自然歩道というハイキング道が設けられています。山道ではなく、磯伝いの道ですが、日本海を背景にそびえる岩山の風景には、辺境の雰囲気が漂い、強く印象に残ります。一度訪れると、生涯、忘れられない風景になることでしょう。古来、二ツ亀も大野亀も地元の人にとって神聖な場所であり、岩山で危険でもあるため、登頂はおすすめしません。二ツ亀は、海に沈む夕日がとてもきれいです。ホテルとキャンプ場があるので、泊まって眺めるとよいと思います。

日本海に突き出した二ツ亀をキャンプ場から眺める

「行ってみたい!」と思った方は、『絶景ハイク 関東・中部33コース』をご覧ください。「キャンプもいいな!」と思った方は『おすすめ! ソロキャンプ 関東・中部 厳選30』も、ぜひ。書店で販売しています。図書館にあるかもしれません。

『絶景ハイク 関東・中部33コース』
  著者:重信秀年
  発行:東京新聞
  発行日:2025年3月25日
  定価 1,650円(本体1,500円+税10%)


『おすすめ! ソロキャンプ 関東・中部 厳選30』
  著者:重信秀年
  発行:東京新聞
  発行日:2022年3月30日
  定価 1,650円(本体1,500円+税10%)

  

***第2集報告書を頒布中です。 また「登山道」に関するご意見や投稿を募集します***

登山道法研究会では、これまでに2冊の報告書を刊行しています。こちらは本サイトの電子ブックコーナーで、無料でお読み頂けます。
https://yamanohi.net/ebooklist.php

また、第2集報告書『めざそう、みんなの「山の道」-私たちにできることは何か-』につきましては、紙の報告書をご希望の方に実費頒布しております。
ご希望の方は「これでいいのか登山道第2集入手希望」として、住所、氏名、電話番号を記載のうえ、郵便またはメールにてお申し込みください。
●申込先=〒123-0852 東京都足立区関原三丁目25-3 久保田賢次
●メール=gama331202@gmail.com
●頒布価格=実費1000円+送料(430円)
※振込先は報告書送付時にお知らせいたします。

報告書の頒布は、以下のグーグルフォームからも簡単にお申込み頂けます。
報告書申し込みフォーム

先に刊行致しました「第1集報告書」は在庫がございませんが、ほぼ同内容のものが、山と渓谷社「ヤマケイ新書」として刊行されています。
ヤマケイ新書 これでいいのか登山道 現状と課題 | 山と溪谷社 (yamakei.co.jp)

また、このコーナーでも、全国各地で登山道整備に汗を流している方々のご寄稿なども掲載できればと思います。
この記事をご覧の皆さまで、登山道の課題に関心をお持ちの方々のご意見や投稿も募集しますので、ぜひご意見、ご感想をお寄せください。
 送り先=gama331202@gmail.com 登山道法研究会広報担当、久保田まで

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