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山の日レポート

山の日レポート

通信員レポート

お富士さんの山開き その1『下谷坂本富士』

2023.07.11

全国山の日協議会

三輪主彦さんから富士山信仰にまつわるレポートです

今は8月11日が「山の日」の祝日となっているが、山開きはそれぞれの山で決まっている。富士山は7月1日が山開きで東京都内の富士塚でもその日に合わせて山開きが行われる。江戸時代には八百八もの富士講あり、それぞれが富士塚を築いていた。本物の富士山に行くことができないおんな子どもはここに登ることでご利益を得ることができた。しかし明治の廃仏毀釈によって修験道系の富士講は解散させられ富士塚は破壊された。かろうじて生き残った富士塚も区画整理や道路工事などで破壊、移転などで、元のままの姿を残しているのは都内では三箇所だけで重要文化財に指定されている。

小野照崎神社の境内にある富士塚の山頂に浅間神社(富士山のコノハナサクヤ姫を祀る)がある。

三箇所のうちで入谷の小野照崎神社にある「下谷坂本富士」の山開きには大勢の人が訪れる。私も毎年登山をしていたがコロナ禍でここ数年登ることができなかった。今年はやっと山開き宵宮の6月30日に登ることができた。雨が降っていたが本物の富士山の集団登山のようになった。テレビ局は本家の富士山開きだけでなく都内富士塚の山開きの映像を流していた。富士塚の高さは5mほどだが雨でぬれた富士の溶岩は滑るので歩きにくい。前の人にくっついてやっとこさ登った。

頂上で自撮り:皆さん本物の富士山に向かって礼拝をしている!

富士塚を登ることができるのは山開き前後の2日間だけだ。昔は七富士巡りと称して2日間でいくつもの富士塚を走って巡ったが今は軟弱にも電車でいく。これではきっとご利益は薄いだろうが、私はご利益を期待しているわけではない。今年も元気で山登り(たった5mだが!)ができたことに感謝をしているだけだ。「山の日」は「山の恩恵に感謝」という趣旨で制定されたと聞く。まさに我が意を得たりだ。

修験道を開いた役行者の祠が本物の富士山にもある。

小野照崎神社の獅子狛犬(左が狛犬:右は獅子)

大混雑の富士登山(小野照崎神社にある下谷坂本富士)

登山口に置かれた石像、これはいったいなんだ?? 申(猿)の刻に富士山に向かって祈る姿?

このあと電車で同じく重要文化財である「江古田の富士」、「長崎富士」に行く。七富士巡りが今年は三富士だ。この三つはもともとの地にあり築造年月がわかっていることで重要文化財になっている。重文の富士塚は都内では3か所、ほかは川口の木曽呂富士、志木の敷島富士で、全部で5ヶ所だけである。
さらに明日は「十条富士」に行くつもりだ。そこは都内では最もにぎやかな縁日が開かれているところだ。子どもたちが大勢楽しそうに集まっている様子を見たい。普段は“毎日が日曜日”生活だがこの2日間はなかなか忙しい。

追記:富士塚は都内三カ所にしかないような書き方をしてしまった。しかし実際には60数箇所に富士塚がある。それらはほとんど作り直されたものです。築造時期、場所がはっきりしたものが三つだけという意味でした。それらは重要文化財に指定されています。明日行く「十条富士」も道路拡張で移転作業中です。詳しくは私のお友達の有坂蓉子さんの『ご近所富士山の「謎」』(講談社+α新書)を参照してみてください。

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