山の日レポート
通信員レポート
北アルプスの登山道を未来につなごう ~実証実験にご協力を~
2021.09.17
■■今、登山道の維持が危機に瀕しています■■
「登山道は誰が、どうやって整備しているんだろう。」と考えたことはありますか?
これまで、北アルプス南部地域の登山道は、山小屋を中心とした関係者の労力と資金、それらを支援する行政等の取組によって維持されてきました。しかし、近年コロナ禍を始めとする環境の大きな変化により、これまでの枠組で登山道を維持し続けることが難しくなってきています。
そこで、利用者の皆様に登山道維持の現状を正しくお伝えしたうえで、皆様にご参加いただくことにより登山道を維持していく新たな制度が検討されています。
まずは任意の寄付金を募るとともに、改善点を把握し本格導入に向けて準備を進めるためのアンケート調査を行う実証実験(=北アルプストレイルプログラム(仮))を実施することとなりましたので、ご紹介します。
今回の実証実験では、先行して取り組める地域として槍穂高連峰・常念山脈エリアを選定しています。今後の他山域への展開は、実証実験結果などをもって検討していきます。
【実験の内容】
■ご寄付(任意)…今後も安全な登山を楽しんでいただくため、登山道維持へのご寄付にご協力ください。
■アンケート…寄付金をいただく実証実験について皆様のご意見をお伺いするため、アンケートを実施しています。
ぜひ、皆様のご意見をお寄せください。
【実験の実施期間】 2021年(令和3年)9月18日(土)から10月18日(月)まで
【実験の対象地域、対象者】
■槍穂高連峰、常念山脈エリアの長野県側登山道を利用する登山者
■上記の登山道の維持にご協力をいただける、すべての方
【実験の実施体制】 いただいた寄付金は北アルプス登山道等維持連絡協議会が管理し、協議会が管理する登山道の維持のための資金として活用させていただきます。
この地域では、「北アルプス登山道等維持連絡協議会」という組織が、山小屋や地元関係行政機関等で構成され、主に制度上管理者のいない山岳登山道の維持補修を数十年にわたって行ってきました。
この協議会では、松本市、安曇野市や自然公園財団、山小屋等の民間事業者による負担金を元に各担当山小屋に予算が分配されています。また、協議会予算とは別に行政の予算で補修事業や施設の整備を行っているところもあります。一方、登山道維持はこれらだけでは補うことができず、毎年山小屋の「収益からの多額な持ち出し」が発生しているのが実情です。
「登山道維持への協力」には、実に様々な参加方法があります。ぜひ皆様のご参加をお願いいたします。
【登山道維持の現状を知る】
まずは登山道維持に関する現状を検討会資料などから知り、問題点や関係者の取組を理解しましょう。
【登山道に優しい登り方を心がける】
登山道には様々な負荷があり次第に損傷していきますが、利用者の心がけで負荷を軽減することもできます。(荒天時の回避、登山道を外れない、ストックキャップを装着するなど)
【ルールやマナーの遵守、安全登山を心がける】
登山道維持を担っている山小屋への負担を少なくすることで、山岳利用の持続性が高まると考えられます。
【実証実験についてご意見をお寄せください】
今回の取組はあくまで試行的なものであり、いろいろな改善点を把握し制度の本格導入に向けて準備をしています。アンケート調査を実施していますので、ご協力をお願いいたします。
<※詳しくは、下記の「北アルプストレイルプログラム(仮)の公式サイト」をご覧ください。
こうした登山道を未来に残し、安全な登山を楽しんでいただくために、取組へのご理解とご協力をお願いいたします。
RELATED
関連記事など