山の日レポート
通信員レポート
湿原に翔ぶハッチョウトンボ
2024.06.16
今日は中村湿原(山形県真室川町)へハッチョウトンボの観察に。
中村湿原およびその周辺の里山は環境省によって「生物多様性保全上の重要な里地里山」に選定されていて、地元の人の手によって大切に保護されています。湿原の大きさはそれほど大きくはありません。早足で回れば10分もかからずに周れます。
でも今の時期はトキソウやサワランなどが咲き誇っていますし、あの日本一小さいハッチョウトンボが生息している貴重な湿原ですので、ここはじっくりと観察したい場所です。
ハッチョウトンボの大きさほぼ20mm、小さくて可愛いトンボです。全国の8割弱の都府県で絶滅危惧種や準絶滅危惧種などに指定しており、東京や埼玉などでは絶滅種になっています。その希少なトンボが身近に見られるのですから本当に貴重な湿原ですね。
何が良いって、あまり人に知られていないので訪れる人も少ないところ。それがかえって自然の保護につながっているんだろうなと思います。
トキソウはその名の通りやさしい朱鷺色をしたラン科の花。
湿原の中ほどには広さにして畳3畳分ほどのトキソウの見事な群落もありました。木道からは離れていますので近寄ることはできませんが、逆にそんな環境が生んだ群落でしょうね。
ほかにもさまざまな虫や希少な花々が咲く湿原ですから本当に大事にしたい場所ですね。
”どの花はいつどこで見かけたか”というのはほとんど頭に入ってる私ですが、このサワラン(別名アサヒラン)はもう何年も前に栗駒山の名残ヶ原で初めて見て一瞬で私の一押しになった花です。きれいな紫色に心を奪われたことを今でも鮮明に覚えています。
ハッチョウトンボのメスはオスよりも一回り小さい体長で、少々地味な色をしています。オスが派手でメスは比較的地味っていうのは虫にしろ鳥にしろ自然界では多いパターンですね。
そう考えるとホモサピエンスぐらいです、メスが着飾っているのは…。
(すみません、決してセクハラではありません^^;)
ハッチョウトンボのオスは最初から真っ赤ではありません。真っ赤なのは成熟したオスです。比較的若いオスは上の写真のようにオレンジっぽい色をしています。
大きさ比較のために指を近づけてみましたがなかなか逃げませんね。
ノハナショウブの花も咲いていました。園芸種であるハナショウブの原種といわれています。花弁に黄色いワンポイントがあるのが特徴ですね。
湿原で観察会をしていた子どもたちが持っていた秘密兵器に協力してもらって大きさの比較をしてみました。ほんとうに1円玉程度の大きさなのがよくわかります。
湿地を保全するにしても、ただ湿地がそこにあるだけではなく、産卵に適した池塘などもきちんと守るなど生態系にマッチした保全活動があってこそハッチョウトンボが飛び交う環境を存続させることができるのですね。 お疲れ様です。
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