山の日コラム
通信員コラム
ラダックに思う①
2024.05.18
コロナ明けきらぬ2022年、もう海外には行くことができないのではと諦めかけていた時に、とにかく行ける時に行っておかねばと、かすかに開いた門を飛び出してインドデリーへ。既にコロナは過去のこととなり、人人人のデリーから小一時間のフライトで、人が劇的に少ないレ―の町に着いた。
軍事的理由から1974年まで30年の間外国人が入るのを禁止されていた場所は、チベット本土では破壊され、失われてしまった本当のチベット仏教文化が残っており、チベットよりもチベットらしいと場所と言われている。兄妹のうち、一人は僧や、尼僧となるため、小さな頃から親元を離れゴンパ(寺院)に住む。また、厳しい自然環境により、冬場は交通が閉ざされてしまうため、遠く離れた学校へと家族と離れて暮らす子ども達も多い。2022年に訪れたリンシェ村は、道路が通っておらず、歩いていくしか手段がなかったが、ようやく車で行けるようになってまもなくだった。
訪れた秋の終わり、長い冬に備えて人々は助け合いながら大麦の収穫作業をしていた。ちょっとシャイだけれど、笑顔がとびきり素敵なラダックの人々にすっかり魅了された私は、翌年夏には、また同じ空港に立っていた。
近い将来、ザンスカールにもう一つ空港を作る計画があるらしいと小耳に挟んだ。既に道路が通り、1年前とは既に風景が大きく変わっているらしい。その場所近くから通ってきている現地ガイドに聞いてみた。「開発って故郷の風景が失われて行くってことだよね、みんなはそれでもいいの?」彼は少し笑って少し困ったような顔をして答えなかった。2年に渡ってガイドをしてくれている彼は、アフターコロナには中心都市レ―に部屋を借りているけれど、村に帰る時には何日もかけて歩いて行っていた。私は深く考えずそんな質問をしてしまったことを後悔した。
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