山の日レポート
通信員レポート
息を吞むほど美しい樹氷、霧氷(12月24日) 中央アルプス最南部の山に登る
2024.01.04
巨大な美しいアイスモンスター(通称モンスター)は蔵王や森吉山、吾妻山などの東北の山でしか見たことが無い。それが中央アルプス最南部の山域で出会った!!
「駒つなぎの桜」を見に何度か訪ねた長野県阿智村指定の「阿智セブンサミット」の2つの山、南沢山、横川山をクリスマス山行として登った。「ふるさと自然園」の駐車場脇から登山開始。整備された道を進む。森林帯は物音ひとつしない静けさ。寒々とした裸樹に霧氷の花、花、花。やがて樹林帯を抜けて稜線に出る。神々しく巨大な樹氷に息を呑む!感嘆の声も出ない。
亜高山帯の蔵王など東北地方の樹氷の多くがオオシラビソ(アオモリトドマツ)に着氷したものであると言われているが、ここは標高が低く、多雪地帯ではないのでオオシラビソは生えていない。樹氷はコメツガ、ウラジロモミ、カラマツに着氷してできている。ダケカンバ、カエデ類もその数は少ないがある(飯田市美術博物館の専門家に確認)。岐阜県中津川方面から長野県飯田市方面に流れる冬季の強風によって空気中の水分が木々にぶつかる衝撃によって凍り、氷化し続けて樹木全体を覆ってあのような巨大なアイスモンスターになるといわれる。風速15m/秒以上、気温マイナス15℃ほどの 極寒の環境下の自然現象の不思議さと脅威を感じる。
南沢山~横川山の尾根筋はアイスモンスターが林立している。広い笹原は緑色、その中に点在する木々だけが真っ白で、これは降雪によるものではないことが判る。南アルプス南部の3000m級の峰々がモンスターの遥か先に時折見える。横川山山頂からは御嶽山、そして指呼の距離に牛が伏せているように恵那山が。そして木曽駒ケ岳、空木岳、南駒ヶ岳などの中央アルプス北部の高峰群も見えた。
復路は往路を引き返した。午前中樹林帯でみたあの美しい霧氷はすっかり融けて普通の梢となっていた。前日まで猛烈な風が吹き荒れた山域とは信じられぬほど風も殆ど無く長閑な登山日和であった。
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