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山の日によせて2023

2023.08.06

山の日アンバサダー
山岳気象予報士
猪熊隆之

「今年はどこの山に行こうか。」「この夏はどの山に行こうか。」夏になると、山を選ぶのにドキドキワクワクするものです。私もその一人。ただし、私の場合、山の天気予報という登山者向けのサービスをおこなっているので、繁忙期に出かけるのはなかなか難しいところ。ツアーや、研修会、講習会など仕事を作って山に行くことを楽しみにしています。

マッターホルン、スイス側山頂へあと少し(2022年7月)

今年は、成蹊大学中・高等学校の山岳部に同行させていただくことができました。大平山荘に2泊し、仙丈ケ岳と栗沢山に登る計画です。大平山荘は、「南アルプス開拓の父」と言われ、南アルプス北部の登山道開拓や山小屋建設に尽力した、故・竹澤長衛氏の子、竹澤重幸氏が昭和37年に建てた小屋(当時は、太平小屋)で、現在は長衛氏の孫の信幸氏が経営されています。今では数少ない、昔ながらの佇まいを残す、素朴ながらも清潔で居心地の良い小屋です。

仙丈ケ岳の頂上稜線(2023年8月)

使われている木材は、地元産のものだそうで、女将さんから小屋建設時のご苦労や、山岳写真家の故・白簱史朗先生と白い峰の皆様との思い出話などを伺うことができました。仙丈ケ岳の登山は、標高差1,000mを超える登行、突然の激しい雨など、生徒全員が3,000m峰未経験者というパーティではなかなかハードな内容となり、最後はフラフラになりながらも気力で歩いている子もいて、引率する側も天候判断を含めて緊張を強いられるものでしたが、登山後に弾ける子供たちの笑い声や、ふざけ合った姿に心癒された50過ぎのオジサンでした(笑)。そんな私の今年の目標は、秋のヒマラヤで雲を見ること、ヒマラヤの気象を勉強すること。皆様にとっても、登りたい山で楽しい思い出を刻む夏であることを祈っています。

学生ちに雲の解説をする猪熊

山の日アンバサダー 猪熊隆之さん

山岳気象予報士 猪熊隆之さんからメッセージをいただきました。

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