山の日レポート
通信員レポート「これでいいのか登山道」
【新連載】これでいいのか登山道
2023.04.27
私たちが様々な形で利用させてもらっている登山道の整備の課題が、最近あちこちで語られるようになりました。
コロナ禍で山小屋の経営状況もままならなくなるなか、従来は山小屋の方々がボランティア的に行って来た整備活動も見通しが立たない状況です。
「登山道のために何ができるのか?」私たち山を愛する人たちにとっての課題について、数年前から研究活動を続け、法整備の必要性を説いている「登山道法研究会」の方々に、随時連載の形で、この課題について語っていただきます。第1回目は研究会代表の上幸雄さんに設立の経緯を教えてもらいました。
「登山道法研究会」は2018年秋に、登山道に関心を寄せる山岳会会員、大学研究者、行政職員、自然愛好家、山岳誌編著者などの有志が集まり、研究会を開いたのが始まりです。
2019年9月に登山道法研究会という名で組織を立ち上げ、現況把握、課題整理、目指すべき方向の検討、車道や遊歩道での法整備状況、外国の事例などについて、レポートを書き討議を重ねました。
主な活動は、現地調査、文献調査、調査レポートの作成・発表などですが、年に4、5回の研究会を開催しています。
調査・研究のテーマは、①登山道整備の現状、②登山道の利用状況、③登山道でのトラブルや事故の発生状況、④登山道に対する入山者や関係団体の意識調査、⑤今後のあるべき方向の検討といった点です。
登山道を巡る諸問題での先行的・試行的活動を実践していますが、法整備の意義や必要性、社会的効用、入山者にとっての個人的効用、さらには、登山道やその付帯設備の評価や幅広い利用方策など、検討すべき課題は少なくありません。
2019年には、研究会会員らが実際に見て感じた各地の登山道の状況や、提言などをまとめて、『これでいいのか登山道―よりよい「道」をめざして-』のタイトルで、調査報告書を発行。関係者に配布し、この問題に対する啓発活動を行っています。
同年末には、山と渓谷社からヤマケイ新書という形で同名の本も刊行され、引き続き多くの方々にお読み頂いています。
また、今年(2023年)8月には、登山道問題に関心を持つ幅広い方々から意見や提案を寄せていただき、調査報告書の第2集を刊行することにしています。
次回(第2回)は研究会の活動の歴史について記します。以降、研究会の方々による連載に加えて、全国各地で登山道整備に汗を流している方々の寄稿なども掲載できればと思います。
この記事をご覧の皆さまで、登山道の課題に関心をお持ちの方々のご意見や投稿も募集しますので、ぜひご意見、ご感想をお寄せください。
送り先=gama331202@gmail.com 登山道法研究会広報担当、久保田まで
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