山の日レポート
山の日草の根運動
山との便りの交換 ~湘南でビーチクリーンに取組む中で~
2021.10.01
NPO法人 湘南クリーンエイドフォーラム 有賀正義様から、レポートいただきました。
(ここから)
NPO法人 湘南クリーンエイドフォーラムについて
「湘南クリーンエイドフォーラム」は、きれいな海を次世代へ引き継ぐための様々な活動をプロデュースする団体として2016年にスタートし、2019年にNPO法人化して現在に至っています。
母体となったのは2014年にSNSで海の環境活動を行うメンバーをつないだ「湘南ビーチクリーン倶楽部」。現在SNSとしての活動は「湘南クリーンエイド倶楽部」の名称で、全国に5000名を超えるメンバーが登録し、日常的に情報交換を行っています。
昨今の環境意識の高まりは、SDGsの概念の浸透もあり、急速に進んでいるように感じます。しかしビーチのごみは拾うだけでは対症療法に過ぎません。私たちは「湘南」とありますが、全国と連携・協働し、教育や普及啓発を通じて新たなごみの発生を抑制することを根源療法として、中長期的なビジョンを持って社会を変えようとのモチベーションで活動しています。
私自身は1980年の就職を機に生活の基盤を湘南の海に置き、ボランティアとして続けているビーチクリーン歴は40年を越えました。
さて、私たちの一番の活動エリアである神奈川県の藤沢~平塚のビーチは、山梨県の山中湖を水源として、富士山北麓~丹沢山地の水を集めて相模湾に注ぐ相模川が運んでくる山の石や砂によって養われています。
近年は多くのダムによって堰き止められているため、砂の供給が大幅に減ってしまい、人の力でビーチに砂を補給(養浜)しないと海岸浸食が進んでしまうという悲しい状況になってしまっています。それでも台風の増水の後はどこから流れてきたのだろうと思うほどの大木が漂着することもあり、山とつながっていることを実感します。
また、海は山から流れてくる栄養が生態系の源になっていますが、栄養は流れてくるだけでなく、魚に形を変えて山に戻って行きます。サケやマス、そしてアユなどは海からの便りとして山の動物(熊や鳥など)のエサになることで、最終的には山の土になって植物を養っています。そんな大きな自然の循環も山と海の関係を考える上で大切ではないかと思います。
私たちがビーチクリーンで集めるごみ(人工物)の約7割は川から流れてくるといわれています。そのほとんどは都市部で流出したものだと思いますが、中には渓流から長い旅をしてきたものもあるでしょう。日頃の海での活動の中で山からの便りを意識すると、また新鮮な発見につながるかもしれません。
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