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山の日レポート

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山の日草の根運動

茨城県北ロングトレイル ~里山文化をつなぐ壮大な旅~

2021.10.15

全国山の日協議会

茨城県北ロングトレイルプロジェクト 代表 和田幾久郎

関東の北端、茨城県の北部にロングトレイルを整備する「茨城県北ロングトレイルプロジェクト」。県北部の6市町に点在する里山と地域資源を結んで歩くトレイルの整備を目指すプロジェクトで、ナムチェバザールが中心となり県内有志を募り始められ、現在は茨城県の公式事業としてコース設定を経て、整備事業が展開されている。

里と山をつなぐ

茨城県北ロングトレイルのコースは、山岳地帯に入山したまま長距離踏破を目指すロングトレイルコースとは一線を画す特徴的なものである。

周回320キロを予定している長大なコースには、多様な地形が内包され、山並みを見渡す絶景や滝・川の流れを楽しむ水辺の景色など、様々な風景に出会える。地理的条件からも深い積雪などの厳しい状況はなく、コースでは四季を通じ、豊かな自然の移ろいを感じながら、歩く旅を満喫することが可能だ。同時に、今では貴重なものとなった、自然と暮らしの融合する日本の原風景が贅沢に残されていることを実感しながら、里山を存分に巡ることもできる。

里の生活圏には日常のくらしがあるが、来訪者にとってその日常は、非日常の豊かな体験として深く心に残る。里と山をつなぐように歩いて、様々な日常の中の非日常を体験し、里の歴史を感じながら繰り返し感動に出会うことができるのが、茨城県北ロングトレイルの最たる特徴である。

里山文化と地域資源

こうしたコースの中でひとつながりになると、ひとつひとつ単独ではなかなか注目されにくかった地域資源も、一体的で壮大な魅力を備えたものとして、新たな視点でとらえることができる。地元の誇らしいシンボルとして里山文化と地域資源が見直されれば、環境の維持管理にもさらに目が向けられることだろう。

自然環境はただ放置しておくことが保護なのではなく、適切な管理をし続けることが肝要である。地元の大勢が関わりながら永続的に環境の維持管理をおこなう、地域に根差した環境保護活動の新しい形を目指し、その礎として組織された「茨城県北ロングトレイル協力隊」をベースとして、プロジェクトは進められている。
地域一体となって里山の環境を維持し、トレッカーに対するホスピタリティを高め、茨城県北にトレイル文化圏を育て上げる。歩く旅をきっかけとして、ここにある文化を求める人々と、移住や起業などにもつながる絆を深めていく。茨城県北ロングトレイルプロジェクトは単なる登山道整備計画ではなく、こうした未来を見据えた、プロジェクトそれ自体が夢のある壮大な旅路だ。これからも夢の実現に向け着実な歩みを続けていきたい。

※茨城県北ロングトレイルコースはこの春一部区間で開通しました。里山文化をつなぐ壮大な旅の第一歩が始まりましたので、引き続きレポートを楽しみにしてください。

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