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山の日レポート

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通信員レポート

登山道を守る ~「古道徳本峠道を守る人々」の活動~

2021.08.08

山の日通信員
一般財団法人自然公園財団上高地支部
加藤 銀次郎

現在上高地へは、梓川を遡るバス等での入山がメインとなっていますが、昭和初期まで唯一の入山ルートであったのが、島々谷を遡り徳本峠を越える登山道(島々明神線登山道)でした。この登山道を長年にわたり全くのボランティアで守り続けている人たちがいます。この「古道徳本峠道を守る人々」のメンバーで、本会の会員でもある松本市の高山昇さんから報告がありましたので紹介します。

(ここから)
島々明神線登山道は、松本市安曇の島々集落から上高地へ通じるクラシックルートであり、W.ウエストンをはじめ数多の登山者が歩いた歴史ある登山道です。
2006年の豪雨により登山道は壊滅的な被害を受け、廃道の危機となりましたが、2011年、有志による「古道徳本峠道を守る人々」を結成し、今日まで地道に道普請を行ってきました。しかしながら、2020年の群発地震や集中豪雨により、またしても甚大な被害が発生し通行止めとなり、現在も歩くことはできません。
8月6日、古道徳本峠道を守る人々と関係機関による11人で、島々谷から徳本峠へ向け、状況調査を行ってきました。

登山口である二俣までの林道も、至るところで大きく崩れたり土砂が押し出したりして車両の通行はできません。
二俣からの登山道も、法面や橋の崩落、倒木や落石が多数発生している状況で、登山者が安全に歩ける状況ではありません。
私たちも、ザイルで確保しながらトラバースや作業をするなど、万全の安全対策を行っての入山でした。

当日は、簡易な作業も行いながらの調査でしたので、岩魚留小屋までもたどり着くことができませんでしたが、今後は、地道な作業を続けながら、ふたたび登山者が安全に歩けるよう道普請を行って行きます。

雪崩で流出した木橋の架け替え作業(2017年5月)

決壊した登山道への木橋の新設作業(2017年5月)

私たちは、山の恵みや恩恵に感謝するとともに、山への畏怖、畏敬の念を忘れてはいけないことを、自然災害は教えてくれます。
5年前の上高地は晴天に恵まれ、8月11日を迎えることが出来ました。
コロナ禍や台風の影響に、第5回「山の日記念全国大会」の関係者はさぞご苦労されていることと思います。
大会が盛会に無事開催されますことを祈念しつつ、下山しました。
(ここまで)

この会に係わる人たちの強い思いと時には命懸けの作業により、この登山道が維持されてきました。こうした活動に心から感謝するとともに、復旧後は、また多く登山者に利用していただきたいと心から願っています。

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