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山の日レポート

山の日レポート

通信員レポート

山に囲まれ、山と向き合い、人との輪を広げる

2021.05.23

山の日通信員

「西に甲斐駒、北に八ヶ岳、東に茅(ヶ岳)・瑞牆(山)、南に遥か富士の山」――私の住む山梨県北杜市の市民歌「北の杜讃歌」で唄われているように、山梨県は何どこでも四方を山々に囲まれ、山懐に抱かれている。富士山、北岳、間ノ岳は最高峰、2位、3位の山々である。

1997(平成9)年、国に先駆けて8月8日を「やまなし山の日」と定めた。県土の約8割が森林で、山や森林を見詰め直し、その恩恵に改めて感謝する契機にしようとした。「山に親しみ、山に学び、山と生きる」をスローガンに、山梨県が独自に制定した「山の日」である。制定は全国でも早い方だ。この「やまなし山の日」には、いくつかのイベントが行なわれたが、親子チャレンジ登山(親子登山)は、県内の山岳会が結束して参加してきた。

我が山梨支部は2005年から14年までの10年間、「山を知ろう、山へ行こう」をスローガンに、毎年欠かさず「山の博覧会」を開催した。スタート年は日本山岳会創立百周年に当たっており、登山の普及と山岳文化の継承を図る目的で実施した。それぞれの分野で著名な方々を講師に迎えての講演会で、登山や自然、山の歴史・文化に関心ある参加者は、毎回数百人を超えて盛会だった。日本山岳会は2012年に公益法人へ移行したが、その際には公益事業の優れたモデルの一つとして話題になった。

2015年8月11日、国民の祝日「山の日」がスタートした。
山梨支部では制定記念事業として同年9月に「やまなし登山基礎講座」を企画、開講したが、今年度はその6回目である。登山経験の浅い初級者や、登山の基礎を学びたいという中級者を対象として、30名程度の受講生を募った。

前5回までの受講生は中級者と思われる方々が多かった。山に登ってはいるが山岳会に属さず、独自に山を楽しんできた人が大半で、この講座を通じて登山の基礎を学びたいという。「山の博覧会」は講演を聞くことであったが、この講座では受講生が《学び、それを実践につなげる》場として計画した。

講座は9月から11月にかけて毎週開かれる。安全登山、装備、 山の天気、地図の読み方、自然保護、山の救急医療、山の文学、山梨登山史、山岳写真、山岳遭難とその対策などの机上講座に加え、ロープワークとセルフレスキュー、地図読みなど3回の実践登山も行なわれる。県警本部による「山岳遭難講座」以外はすべて山梨支部員が講師を務めており、好評を博している。

地元の山梨学院に大変お世話になった。「山の博覧会」ではホールの提供と講師料の大半を同学院に負担していただいた。「登山基礎講座」でも最新設備の教室の無償提供、案内チラシの印刷発送、受講申し込み受付などの募集事務、さらに受講生に配布するレジュメの印刷など、同学院生涯学習センターの全面的なご支援を得た。 ありがたい環境の下での講座である。今年度(開講中)は、山梨学院大学スポーツ科学部のご協力もいただいた。

受講生には講座終了後、支部山行への参加を勧め、講座で学んだことを復習実践する機会を提供する。そして、山岳愛好者として互いに学び、山を楽しむ輪を広げ、それが会員増につながれば幸いである。

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