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山の日レポート

山の日レポート

第10回山の日岐阜

第10回「山の日」記念全国大会 岐阜in飛騨高山 記念式典 トークショー レポート

2026.08.16

全国山の日協議会

多様なバックグラウンドを持つ4名の登壇者 (2026年8月11日記念式典)

トークショーには、森と多様な関わり方を持つ4名にご登壇いただきました。
長野麻子氏は元林野庁官僚としての経験から、森と街の距離を繋ぎ直すために株式会社モリアゲを起業し、「1社1山」という取り組みで企業の内部留保を活用した森への恩返しを提唱しています。
三宅佳奈恵氏は、8年前のボランティア活動を機に未経験から林業の世界へ飛び込みました。現在は岐阜県白川町で親方と現場で働きながら、ご自身でも山を購入し、娘さんとともに「きこりおやこ」として森林体験を開催しています。
林千晶氏は、2000年に「ロフトワーク」を創業後、2015年に飛騨市で「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」を立ち上げました。小径木や曲がり木といった林業の課題に対し、3Dスキャンなどのテクノロジーやクリエイティブな発想を掛け合わせ、新しいプロダクトを生み出しています。
井上博成氏は、高山市で代々続く「飛騨五木」グループを経営しつつ、「Co-Innovation University(CoIU)」を設立しました。森林資源を活用して地域の産業構造を変革し、地域課題に挑む人材を育成するエコシステム構築に取り組んでいます。

登壇者4名



未来に残していきたい森の価値と持続可能な仕組みづくり

次の世代に美しい山を受け継ぐための持続可能な仕組みづくりについて、白熱した議論が交わされました。
三宅氏からは、現在使っている木は何十年も前に昔の人が育ててくれたものであり、手入れを続けるには現場の人手だけでは限界があるため、もっと多くの人に森に関わってほしいとの切実な思いが語られました。
林氏は、「手入れをしなかったせいで森がダメになった」と後世の教科書に書かれたくないと語り、日本の山を誰もが享受できる「エブリマンズライト(国民の権利)」としての「みんなの森」に戻していくことが目標であると力を込めました。
また井上氏からは、高山市が脱炭素先行地域に選ばれたことを踏まえ、2050年までに市内で消費される約180億円分の電気を森林由来のバイオマスなどの地域資源で賄う目標が紹介されました。森を通じて地域にお金が循環する新たな産業の仕組みを作り、住民の幸福度(ウェルビーイング)を高めていきたいとの展望が示されました。

井上博成氏と林千晶氏



森づくりを通じた「人づくり」と新たな関わり方

森を通じた人材育成や、若い世代との新たな関わり方についても話題が広がりました。
井上氏が経営する飛騨五木では従業員の9割が女性であり、木を切ってからお客様に届けるまでの長いサプライチェーン全体に関わることができ、顧客への価値提供が見えることがやりがいに繋がっていると指摘しました。
林氏も、新設されるCoIUの学生がヒダクマでのアルバイトを希望するなど、若い世代と地域との間に多様な繋がりが生まれていることを嬉しく感じていると語りました。
また三宅氏は、親に連れられて山に来た子どもたちが、最初はスマホゲームをしていても、自然の環境に触れるうちに野生が目覚めて大はしゃぎするエピソードを紹介しました。安全に遊べるきっかけさえ作れば、子どもたちは自然の魅力に気づいてくれるとその重要性を訴えました。

「きこりおやこ」として森林体験やワークショップを開催



未来に向けた最後のメッセージ

最後に、登壇者の皆様から未来へ向けた熱いメッセージが送られました。
三宅氏は、先人たちが守ってきた山を引き継ぎ、未来の子どもたちに美しい山を残していくために、これからも技術を学び続け、日本のために頑張っていきたいと意気込みを語りました。
林氏は、広葉樹の葉が落ちて見晴らしが良くなり、真っ白な雪が積もる「冬の山」の景色が大好きだと語り、自分なりの些細なきっかけで良いので、多くの人が山と幸せな関わりを持ってほしいと呼びかけました。
井上氏は、山や川の現場を回る中で一つとして同じ自然環境はないことに気づいたと語り、資本主義の効率化にとらわれず、人間社会においても一つ一つの物事と丁寧に向き合う「メタ認知」を育むことが大切であると締めくくりました。

林千晶氏とLoftwork



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