山の日レポート
通信員レポート
第12回 親子登山教室 報告
2024.08.27
平成24年に開始された親子登山教室は、今年度第12回を迎えた。今回は親子8組17名と、講師2名、日本山岳会栃木支部スタッフ9名で実施した。
実施期日:令和6年7月20日~21日
実施場所:奥日光学習院光徳小屋、戦場ヶ原、太郎山
9時30分から光徳駐車場にて受付を開始し、全員揃ったところで 10時に光徳小屋まで荷物を持って移動する。10時30分学習院光徳小屋の庭で、開講式を行う。支部長の挨拶、日程説明、部屋割り、スタッフ紹介、参加者自己紹介、管理人さんより山小屋使用上の諸注意をしていただく。その後、荷物の整理、昼食、午後のハイキングの準備をし、11時30分湯元駐車場へスタッフの車で移動する。
12時に日光湯元ビジターセンターからハイキングに出発。湯ノ湖の湖畔を反時計周りで歩く。富永講師よりヒカリゴケの説明を受け、ありそうな木の根元をのぞき込むと、次々と見つけることができた。シカの足跡を確認したり、キノコを観察したりしながら、湯滝の落ちる地点へ到着。湯滝の脇を下りて、12時50分に観瀑台へ到着。途中にアオダイショウの抜け殻が2つもありビックリした。
湯川沿いのハイキングコースはミズナラやウラジロモミ、カラマツなどの林で、木道歩きの快適なコースである。小学生の団体とのすれ違いが多く、お互いに「こんにちは」と挨拶し合った。
13時50分泉門池到着、この頃には、皆すっかり仲良しになっていた。
小田代橋から東に歩みを進め、北戦場ヶ原に入っていく。雷雲が沸き、雨が降ってくるのが心配されたが、なんとか合羽は着ずに済んだ。明日登る山王帽子山、太郎山がはっきり見え、その登山道の行程を思うと、明日登れるかなぁとちょっと心配になった。湿原にはツルコケモモやノアザミがたくさん咲いている。湿原の乾燥化が進み、シラカバの木等の灌木が育っていく様子を確認しながら14時30分光徳入口に到着。スタッフは湯元に停めてある車を回収した後、途中参加者をピックアップし、14時40分に光徳小屋に戻った。
夕べのつどいで、参加者代表の6年生のHさんに、明日の登山の抱負を述べていただき、夕食の準備に取りかかった。小学生9名とスタッフ3名で、定番のチキン&ビーフカレー(甘口、辛口)シーチキンサラダ、コーンスープを作る。皆やる気満々で、米を研ぐ人、玉ねぎのスライスに挑戦する人、肉を切る、カレーの玉ねぎを炒めるなどから始めた。さすがに高学年はなんでもできるようになり、何をすればいいか聞いてくれた。サラダに取り掛かかり、低学年の子にできる作業を振り分け、スタッフはなるべく手出しをしないようにして、まな板を洗ったり、切り方を教えたり、猫の手を見守り裏方に徹した。子ども同士の切磋琢磨する様子が微笑ましい。
その間保護者とスタッフはミーティングをしながら情報交換をし、交流を深めた。藤大路講師よりシルクロードの山旅を映像とともにレクチャーしていただく。
17時より夕食、その後、後片付けは保護者が行い、18時00分より再び子ども達で、明日の朝食の準備に取りかかる。梅干しと塩昆布のおにぎり、豚汁を作る。おにぎりは最初にラップを敷き、ごま塩を置き、茶碗一杯のご飯を載せる。真ん中に具材を入れたら、にぎにぎする。子どもたちは競って、私に頂戴と言って作っていた。あっという間に終了。
19時30分から星空観察会であるが、今年も残念ながら厚い雲に覆われていたかと思うと、雲が千切れ出した。12回中2回目の星空だ。富永講師は幼少の頃より天文ファンで、先生の話を聞きながら一等星の夏の大三角形、春の大三角形の一つを見つける。男体山から満月の月が上がってきてしまい、天の川は見えないが、富永講師もビックリのさそり座が確認できた。名残惜しいが20時過ぎ、星の観察会終了。小屋に戻っても寒いので、ストーブに火をつけた。21時全員就寝。
登山教室2日目 5時起床。昨日のうちに準備した朝食を食べる。
朝食の後は、慌ただしく後片付けや荷物の整理、清掃を行い、10分前集合の6時20分には、登山準備と出発準備OK。光徳駐車場に止めてある車に一旦戻り、そこからスタッフの車で山王帽子山登山口へ移動した。準備体操をして、7時15分に出発する。
親子登山教室で太郎山に登るのは3回目である。第1回と第4回は新薙コースから登ったが、今回は山王峠からのピストンとした。新薙コースはガレ場が多く、更に急斜面が続き緊張する所が何回もあり、子どもも大人も実力体力に差がある親子登山教室ではハードルが高い。今回のコースは小太郎山から太郎山へヤセ尾根があるが、う回路を利用すれば危険度は下がる。ただ、山王帽子山頂からの下りを復路は登り返さなければならないのが難点だが、どうだろうか?
朝露に濡れた笹原に分け入り、まもなく樹林帯の急登が始まった。汗は噴き出すが、時折吹く風はクーラーのように涼しく気持ちが良い。たぶん、20度くらいの気温に体感温度は16度くらいだろう、良いペースで登っていく。山王帽子山頂まで80分と見ていたが60分で着いてしまった。山王帽子山頂は樹林帯の中で、木々の隙間から男体山やこれから登る太郎山が確認できた。
ハガタテのコルまで約160mほど下り、休憩。そして、400m程の登りになる。途中1回休憩を入れ、小太郎山に10時20分到着。ここで体調チェックをし、太郎山まで危険なヤセ尾根を通って山頂まで行けるか一人ひとりの意思を確認する。お父さんの登山靴の靴底が剥れたペアと、昨日から体調が悪いペア2組は小太郎山で昼食休憩に入った。3点支持をしっかり守りながら岩場を通過し、岩場に咲く高山植物に元気をもらいながら最後60mほどの登りで11時に太郎山山頂到着。コケモモ、ミヤマダイコンソウ、コゴメグサ、シラネニンジン、ハクサンフウロなど咲き、富永先生のクイズの答えの解説もしてもらった。到着した時はガスって何も見えなかったが、時折ガスが切れて眺望が現れた。昼食を食べ終わる頃には天気が回復し、小太郎山はじめ男体山、大真名子山などほぼ360度の見晴らし。小太郎山に私たちの姿と声が届く。11時30分来た道を引き返す。最後の難関は山王帽子山を登り返すわけだが、太郎山から見る山王帽子山が低く小さく見えた、確かに地図を確認すると300mも低い。
小太郎山で全員集合の写真を撮り、下山開始。こんな急なところを登って来たんだとビックリしながら、滑って転ばないように注意し合いながらおりた。途中で立ち休み(水分補給の短い休憩)をすると、山王帽子山とほぼ同じ高さまで下ったのが分かった。
13時30分ハガタテのコルに到着。これからの登り返しに備え、10分休憩。ちょうど手袋を脱いでしまってから、すべって擦りむいてしまった手の傷の手当をする。一瞬の油断でケガすることを実感した。最後にここを登ったら後は下るだけ、ゆっくりといろいろおしゃべりしながら登った。
14時20分山王帽子山到着。最後に頂上の雲が取れた男体山を見納めて、下山する。樹林帯から笹原になると、もうすぐ到着である。15時5分最後尾が登山口に着いた。整理体操をし、光徳駐車場へ移動する。
15時20分光徳駐車場で直ぐに閉講式を行い、修了証を授与した。
今年も参加者の皆さん、スタッフの皆さんの温かい気持ちと協力のもと、所期の目的を遂げることができました、ありがとうございました。昨年も感じたのですが、学習院光徳小屋に宿泊を伴った活動をすると、不思議なことに皆家族のような一体感が生まれ、やさしい気持ちで接することができるように感じられます。私は、親子登山教室参加者の皆さんから毎回エネルギーを充満してもらって帰ります。ご自分のお子さんだけではなく、全体を気遣ってくださっているのを感じ、何よりも一回り大きくなった子どもたちの姿を見せてくれます。スタッフの皆さんも、楽しかったですよね。来年度もよろしくお願いします。
(文責:日本山岳会栃木支部 仲畠正子)
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