山の日レポート
自然がライフワーク
寒風にたたずむ才女・紫式部
2024.02.16
皆さんは自然観察会 というのをご存知ですか。身近な自然のなかで生きている植物や野鳥や昆虫たちを観察します。そこで自然が持つ魅力を味わい、自然を大切にしていこうとする催しです。
尾瀬の保護から出発した(財)日本自然保護協会はその案内人たる「自然観察指導員」を養成しています。全国ですでに2万9000人以上、私もその一員です。
「自然観察会」はお住まいの近くでも時々開催されているはずです。
たとえば・・・冬には・・・
落葉樹はすっかり葉を落とし寂しそうに見えますが、小枝にある冬の芽(=冬芽と言ってます)を観察してみてください。色々な形が見つかります。
たとえば下の木はクロモジといいます。
キリスト教会や立教大学のシンボルマーク(百合の紋章)を連想しませんか。
クロモジは木全体に良い香りがあり、落ち葉すら揉むと香ります。試してみてください。
この木は高級つま楊枝にも使われます。お茶席で和菓子に添えられる楊枝はクロモジで作られた楊枝です。これから転じて爪楊枝のことを洒落てクロモジと言うこともあります。
山でよく見られ日本を代表する樹木・ブナは下図のような尖った冬芽を付けます。
春になると下図のような若々しい葉をつけ始めます。まるで産毛が光っているようです。
最近、日曜の大河ドラマ「光る君へ」で 吉高由里子さんが 平安の紫式部を好演しています。
さて紫式部さんはお近くの公園で見られるのをご存知ですか。
ムラサキシキブというクマツヅラ科の木があります。
公園や街中だけでなく山の麓にも多く自生しています。
その吉高由里子さんこと紫式部さんは春に備えて小枝の先に芽を付けています。
冬芽はこういう姿です。
このムラサキシキブは初夏に下のような美しい花を咲かせます。
秋には、これまた美しい紫色の実をつけます。
では百人一首の絵札に載っている紫式部のあでやかな姿と歌を紹介しましょう。
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めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲がくれにし夜半の月影
(歌意)
久しぶりにめぐり逢って見たのが確かであるかどうか、見分けがつかないうちにあなたは慌ただしく帰ってしまった。雲の間に隠れてしまった月のように。
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冬は花も葉もなく寂しいと思われがちですが、樹々はしっかり春の準備をしています。「冬芽」を見て歩くと意外な発見があります。
街の中にもよく見ると自然があふれています。山道でも近所の公園でも「自然観察」をお楽しみください。
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