山の日レポート
通信員レポート
サハラ砂漠マラソン100kmの部に参加 前編
2024.01.12
HMDSサハラ砂漠マラソン( Half Marathon Des Sables )は、アフリカ大陸のモロッコで開催される水3リットル、食料3食x6日分、生活用具を詰めた12kg前後のバックバックを背負って、時には40度以上となることもある灼熱のサハラ砂漠(昨年のレースでは異常気象により日中50度超)の砂地、石場、山を3ステージ3日間(砂漠キャンプ滞在は6日間)に分けて走るマラソン大会だ。
日本からパリを経由しモロッコのマラケッシュへ行き、そこからバスで6時間かけてワルザザードで1泊、翌日さらにバスに揺られ6-7時間かけてアルジェリア国境近くの何もない砂漠地帯がスタート地点だ。
環境に慣れる意味もありレーススタート前に砂漠で1泊するので、日本を出国してから丸3日かけてやっとスタート地点に立てる。
ベースキャンプでは5泊6日の風呂なし、トイレは基本大地(幸運にも今年から一部仮設トイレの設置有り)これが我々の基地となる。
外気温は30数度。動かず立っているだけですごく暑く身の逃げ場がない。
熱気で初日から熱中症気味となってしまい、うだるような暑さの中、初日くらいは食事がしにくいとは想像していたが、まさかそのまま最終日まで熱気と吐き気でほとんどまともな食事(特に走った後の夕食)が食べられなかったことは最大の誤算だったのだが、とにかく、ここから文明とかけ離れた全てが不便な生活の始まりだ。
250kmのサハラ砂漠レースはすでに37回開催されているが、250kmの長距離だと事前に何年もかけて準備を要し参加できる人が限られてくることから、より多くの人が砂漠を堪能できるように70km,100km,120kmの部(HMDS)が作られた。
何年もかけて体を鍛え上げた人でなくても一定のトレーニングを積めさえすれば砂漠の中で存分に走り回れる体験を幅広く提供しようという懐の深い試みである。
今回100kmの部に参加した。
女性の参加者が多いのもHMDSの特徴なのだが、なにより今回最もリスペクトされた参加者は最高齢80代の女性2名(無事に完走)。
今後身体にハンディキャップのある参加者も参戦出来るよう見据え、テスト的に車椅子での参加者もおり、まさに人間に限界はない、どの状態からでも人は挑戦をし克服できるのだという姿を身近に見せていただけた心から感動が沸き上がるレースとなった。
最後尾で元気に堂々と初日をゴールする姿。
先に到着したランナー数百名がゴールに出迎えに行き拍手でゴールを祝う会場の温かく勇者を称える一体感にもゴールしたご本人にも深く感動した。
ロープで引っ張る先導者(女性)、後方から押す者(男女1名づつ)、本人は手を使って砂地を必死に進む雄姿はまさにアイロンマン。
本当に笑顔の素敵なアスリートだ。
2024年1月 中村太一
後編につづく
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