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山の日レポート

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通信員レポート

海外トレイルレース参戦記:TDS〜Beaufortのモヤモヤを晴らす旅〜その2

2023.09.20

山の日通信員
認定NPO法人 富士山世界遺産国民会議
大庭 大

(海外トレイルレース参戦記:TDS〜Beaufortのモヤモヤを晴らす旅〜その1から続く)
T7エイドBeaufortからは、T8,T9を経てT10 Les Contaminesまで31.6km1910mD+の山越えとなります。T8 Hauteluceでベンチに座り補給していると、「Do you speak English?」と選手であるフランス人マダムが話しかけてくれました。「a little」と答えると、「ここからのコースを説明するわ。まず6キロで1000メートルを登るの。Mont de Voresを越えた先にコースプロフィールのリストには載っていない小さなエイドがあるわ。T9 Col du Jolyまでの間で補給できるのよ。ここからは寒いし風も強くなるわ。それじゃあGood luck!」みたいな感じで、この先のコース状況をやさしく教えてくれました。ゴール後に聞いた話だと、この小さなエイドの存在を知らなくて、そこを次のT9と勘違いして混乱した人もいたとか。2019年にフランスの海外県レユニオンで開催された100マイルレースに出場したときは、2晩目に強烈な睡魔に襲われてフラフラ歩いていると、コース沿いでポットを手にしたマダムからコーヒーをもらい助けられたことがありました。今回のTDSでは親切にコースを説明してくれたり、フランスマダムはいつもやさしい❤️

Mont de Voresを越えて夜が明けると、前方の雲の切れ間からモンブラン方面の山々が現れた。

話が逸れましたが、Mont de Voresへの高度差1000mをワッセワッセと登って、教えてもらった小さなエイドを過ぎてからの長いトラバースを進みます。その辺りは、前夜の雪や雨で、トレイルはドロンコ祭り。朝を迎えて、前方にモンブラン方面と思われる山が見えてテンションが上がります。

Mont de Voresを越えて、進んできたコースを振り返る。

T9 Col du Joly(Remontee le Signal)に到着すると、ボリュームゾーンは先を進んでいるのか、選手はまばら。軽く補給してT10 Les Contaminesへ向かいました。T10エイドではサポートの阿部さんが作ってくれたそうめんを食べながら、その先のコース情報を聞きます。最高点は標高2000m程度であるものの九十九折りの登りが続き次のエイドまで6時間の山越えになるとのこと。長い山越えに備えて水を1.5リットル持って出発しました。

Les Contaminesから林道を登り切って、Chalets du Truc周辺から雪を纏った山々を見上げる。

急登の林道を登り切るとハイカーで賑わう山小屋Chalets du Truc。そこからいったん降ると、目の前に立ちはだかるCol de Tricotへの600m直登。130キロ地点でバーティカルレースが始まるかのような斜面です。ここはアクセルを上げすぎず、上を見上げずに、ひたすら前だけを見て進んで行きました。Colに着くと計測スタッフが、「Oh! Japanese, good job!」と声をかけてくれます。

コース上では各所で放牧された牛に出合います。

前方の鞍部がCol de Tricot。高度差600mの激登りが始まります。

その先もいくつかアップダウンを繰り返し、登山鉄道の軌道を渡りBellevueまで来ると、最終エイドT11 Les Houchesの町が見えて来ました。T11まで下ると、漸く短パン・Tシャツで走れる気温になって来たので、着替えとトイレを済ませてゴールに向かいました。そこからゴールのシャモニーまでは、川沿いの林道を約8km残すのみです。

シャモニーの街に戻ってきました。

ディナー前の時間で賑わうシャモニーの街中を、UTMBとは逆方向からゴールへと向かいました。「Hiroshi,allez,bravo!」イタリアとフランスの山と町でたくさんの応援もらった最高に楽しい41時間33分の旅でした。

ゴール前の直線を余韻に浸りながらゆったりと走っていて後方から追い込んでくる女性ランナーに気づかず、シューズ一個分差し切られていました。

ゴールした瞬間、「あの時、ボーフォール(Beaufort)でリタイアすべきじゃなかったのではないか」というモヤモヤから1年ぶりに解き放たれました。

帰国日になって漸く、シャモニーの町からモンブランの山頂と青空が見えました。

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