山の日レポート
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みちのくの高山植物(8)ハヤチネウスユキソウと蛇紋岩マジック
2023.08.15
みちのくの山野草探報者「モウズイカ」さんからのレポート第8回です。
東北に花の名山は数あれど、特に素晴らしいのは、岩手の早池峰山でしょう。
この山には世界でここだけでしか見られない固有種が多くあります。
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中でも、一番有名で人気のある花はハヤチネウスユキソウだと思います。
日本に有るウスユキソウの仲間では、ヨーロッパアルプスの名花、エーデルワイスに一番近縁とされ、
蛇紋岩で出来た山「早池峰山」の固有種のひとつで、世界中でここでしか見られません。
(本シリーズ第6回「ジャパニーズ・エーデルワイス」の続きになります。)
この花は他のウスユキソウ類、例えば日本海側の高山に生えるミヤマウスユキソウと較べると、頭花のサイズも草丈も明らかに大きなものです。
私はまだ見てないのですが、ヨーロッパアルプスの名花「エーデルワイス」にとてもよく似ているそうです。
また岩の上に咲く姿は、いかにも『高嶺の花』という感じです。
写真はメインの登山コース、小田越コースの一合目、御門口から山頂方面を眺めたものですが、
ご覧の通り、やや赤茶色を帯びた岩が累々と重なっています。(早池峰山は火山ではありません。)
これは橄欖岩(かんらんがん)が変性した蛇紋岩という特殊な岩石です。
そのため他の山には全く無いか、あまり見られない植物が数多く生育しています。
冒頭の『蛇紋岩マジック』とは、私の勝手な造語ですが、
早池峰山など蛇紋岩の山で見られる特殊な花風景を言います。
6月下旬から7月にかけての早池峰山では、ハヤチネウスユキソウの他には
「ミヤマオダマキ」や「ミヤマアズマギク」が多く咲いています。
ミヤマオダマキは東北の他の山では非常に少なく、八甲田山や蔵王の一部で見かける程度です。
「ミヤマアズマギク」が生育するのは東北では早池峰山だけと記憶してます。
このキク科は蛇紋岩と相性がいいのか、
早池峰山以外の山でも、蛇紋岩の山ではよく見かけるようです(白馬岳の一部など)。
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