山の日レポート
通信員レポート
カッコソウ咲く鳴神山から桐生アルプスを歩く
2023.04.25
4月23日(日)、「カッコソウ」の自然観察と「桐生アルプス」縦走を目的に群馬県桐生市北部の鳴神山へ向かった。
カッコソウは日本特産のサクラソウ科の多年草で高さは15cm前後。群馬県東部の足尾山地の限られた場所にしか分布しない希少種。かつては一面をピンク色に染めたといわれているが、現在は群馬県のレッドデータブックで絶滅危惧ⅠA類とされている。現在自生状態のものは2地点で確認された小規模な集団のみ。自生地での回復は困難な状況で、クローン成長で個体群を維持している状況という。
今回は東面の桐生市梅田町側のコツナギ橋登山口から沢沿いに登ることにした。輝く木漏れ日、きれいな小滝、天然のわさび、雷神岳神社の御神水を経てカッコソウの群生地に到着。カッコソウは想像していたより色が濃く、花も大きい。とても美しい花だ。
カッコソウの保護には地元自治体や市民団体、学識経験者などがカッコソウ協議会を作り、連携した活動としてその保護にあたっている。この日もメンバーが説明・募金活動をしていた。
群生地から数分で稜線(椚田峠)に出る。南へ登ると鳴神山山頂。360°の大パノラマで、狭い頂上はたくさんの登山者で賑わっていた。山頂付近の岩陰ではイワカガミが一輪咲いていた。
鳴神山から南下する尾根は桐生市の北部を東の梅田町、西の川内町に分けている。吾妻山まで七つのピークを踏む尾根上のロングトレイル(13.5km)は桐生アルプスと呼ばれている。新緑の木々、アカヤシオ、そしてビューポイントからは赤城山、桐生の街並みなど、飽きることなく目を楽しませてくれた。何度もアップダウンを繰り返すものの、ひんやりとした爽やかな風のお陰で、大汗をかくことはなかった。心地よい疲労感と春を感じる楽しい山行となった。(日本山岳会群馬支部 田中規王)
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