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山の日レポート

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通信員レポート

【動画】「Exhike」(エクスハイク)で安全登山のためのからだ作りを

2023.03.17

全国山の日協議会

山本正嘉(鹿屋体育大学教授、Exhike制作チーム)

 新型コロナウイルスの時代になってから、密を避けて、空気のきれいな山に出かける人が増えています。しかしそれにともない、山の初心者による事故(特に転んでけがをする)が増えてきました。
 また、それまで登山に親しんできた人でも、運動の機会が減り、久しぶりに大きな山に出かけた時に、様々なトラブル(上りで苦しい、下りで脚がガクガクになる、ひざの痛みなど)を起こしてしまった、という話もよく聞きます。
 山歩きには、荷物を背負って、整地されていない坂道を、何時間も上り下りするという、一般の運動やスポーツにはない特殊性があります。これを安全に行うためには、筋力、持久力、柔軟性、バランス能力といった様々な基礎体力や、運動をコントロールする脳神経系の能力も必要となります。
 そこで私たちは、日常生活の中でこれらの能力を向上させる、「Exhike」(エクスハイク)という運動を制作しました。Exhikeとは、エクササイズとハイキングとの合成語です。普段からこれを励行することで、山を歩くための様々な体力や身のこなしを、ダンス感覚で身につけることができます。

「Exhike」(エクスハイク)HP画面

①イージー、②ベーシック、③ハードの3種類

 Exhikeは、年齢や体力に応じて誰にでも取り組めるように、①イージー、②ベーシック、③ハードの3種類を作りました。どれも4分程度の運動です。イージーは体力に自信のない人や高齢者向け、ベーシックは普通の人向け、ハードは若くて体力のある人や山岳部員向けです。

心拍数のグラフ

動画を見て、自分の体力に合うものを選んでやってみてください EASY ver 優しい

BASIC ver 基本

HARD ver 難しい

健康の維持増進や、大きな山でのトラブル防止

 三つとも、序盤は身のこなし、中盤は転倒防止、終盤は筋トレとして役立つように作ってあります。ラジオ体操のように毎日、あるいは週に2~3回くらいは行うとよいでしょう。また、山に出かけた時の準備体操にもなります。最初は動作ごとに分けて練習し、だんだんと通してつなげていくようにするとよいでしょう。
 筆者は以前このHPで、身近な低山で軽登山を励行することによって、健康の維持増進や、大きな山でのトラブル防止に高い効果をもたらすことを紹介しました(週1回の「軽」登山で生活習慣病を防ごう  鹿屋体育大学 山本正嘉)。ただ、頻繁に山に行けない人も多いですし、山を歩いているだけでは身につかない体力もあります。それを補ってくれるのがExhikeなのです。

Exhike制作の背景や過程について

 以下は補足ですが、Exhike制作の背景や過程について簡単に紹介します。筆者が在職する鹿屋体育大学は、全国で唯一の4年制の国立体育大学です。その使命の一つとして、子供から高齢者まで、国民全体の体力や健康の増進を目指して、研究・実践・啓発活動を行っています。Exhikeとの関連では、鹿児島放送(KKB)と産学連携して、子供の体力づくりのためのダンス風エクササイズ「Exseed」(エクシード)をすでに公表しています(鹿屋体育大学 × KKB鹿児島放送|Exseed)。Exseedとは、エクササイズとシード(種)との合成語で、子供に運動の種をまくという意味です。
 今回のExhikeはこれに次ぐ二作目です(鹿屋体育大学のExhike紹介ページ)。筆者の登山経験や研究をもとに、山登りに必要な体力要素を抽出しました。次に、栫ちか子准教授(創作ダンスの元日本チャンピオン)が、それぞれの体力の向上に刺激を与えるような、ダンス風の動作を考案しました。
 そして、シンガーソングライターのYoko*さんとIssyさん(Yoko* official web (yokojapan.com))との間で打ち合わせを重ね、すばらしい曲と歌詞をつけて頂きました。歌詞の中に出てくる「あなた」とは、山や自然のことです。山や自然と共生しながら、素晴らしい命を生きて行こう、という願いが込められています。

HAPPINESSの歌詞

 私たち日本人は、はるか昔から生活の糧を得るための場として、また心のふる里として、山と親しんできました。山を愛するたくさんの人たちが、全国各地の山で、安全かつ健康的に山登りを楽しむために、Exhikeが役立ってくれることを制作チーム全員が願っています。

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