山の日レポート
日本山岳会『山』より
東京多摩支部と「山の日」
2021.12.01
8月11日が国民の祝日「山の日」となってから今年で5年目となる。「山の日」と東京多摩支部(以下多摩支部)との関わりについてあらためて振り返ってみたい。
多摩支部は2010年2月に設立された。
2010年4月に山岳5団体による 「山の日」制定協議会が立ち上げられたので、同じ年に産声をあげたことになる。「山の日」制定協議会代表の成川隆顕氏は多摩支部の設立にもかかわっており、同じ時期に支部と協議会の設立に奔走していたことになる。
JACは2009年、尾上昇氏の会長就任後、「山の日」制定運動が本格的に動きだした。
2013年6月2日、協議会は一般社会に向けた「山の日」制定活動のアピールとして、高尾山ケーブルカー駅前広場で、「山の日」の集いを開催した。坂本正智多摩支部会員が開会の宣言をし、多摩太鼓の音が鳴り響いた。集いには支部から30人以上が参加し、竹中彰前支部長らは「高尾の森づくりの会」や都岳連の会員とともに、祝日制定を呼びかけるビラを2000人の登山者に手渡した。
2014年、国会で「山の日」が国民の祝日に制定され、2016年に施行されることになった。
これを受けて、2014年6月1日に協議会は同じ広場で集会を開き、多摩支部会員の多くが再び実働部隊として活躍した。
2016年8月11日に国民の祝日として「山の日」がスタートした。
多摩支部では「山の日」フェスタとして、高尾599ミュージアムと共催で高尾山親子森育ハイキング、おくたま振興財団と共催でセラピーウォーキング、その他、絵画展・映画鑑賞、写真・山道具展示など多彩な活動を展開した。
山の日の制定以降も、毎年、「山の日」に奥多摩駅前で安全登山啓発のためのビラ配りを行い、高尾山親子森育ハイキングを大蔵喜福氏が講師を担当して続けている。
山の日の理念は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」こととされる。
登山のすばらしさを伝えることでもあり、安全登山や自然保護活動の啓発など活動は多岐にわたる。
多摩支部は登山教室、安全登山や自然保護などの講演会・講習会、自然観察会などによって、「山の日」制定以前からいわば「東京の山の日」を実践してきたといえる。
多摩支部は設立10周年を迎え、会員数が300人と、JACの中で東海支部に次いで大きな支部に成長した。
しかし、昨年からのコロナ禍でイベントや登山、登山教室の中止を余儀なくされ、活動を思うに任せない日々が続いている。そのような逆境の中で、魅力的な支部を作るために何をしたら良いのか模索している。
JAC本部でも取り組みを始めた講演や講座などの情報のオンライン配信もその一助になると考えて、活動を始めたところである。今後も、「山の日」の活動の一翼を担いながら支部活動を展開したいと考えている。
(日本山岳会「山」2021年8月号より転載。)
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