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山の日レポート

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通信員レポート

「野生の山へ〜北海道の山・奥美濃の山」講演会レポート

2021.11.04

全国山の日協議会

日本山岳会京都・滋賀支部主催、同志社山岳部共催、日本山岳会東海支部協力の下、10月16日京都で開催された講演会の投稿です。
投稿者宇野悠真さんは同志社山岳部出身26才です。若い世代からの投稿が増えてくることを願っています。

左が北海道の山の米山講師、右が岐阜の山の清水講師

同志社山岳会 宇野悠真

2021年10月16日、京都御苑の南東角にある新島会館にて、「野生の山へ」と題して2名の講師を招いて講演会が開催された。お二方とも独自の観点から、登山が持つ「野生」の魅力を引き出されている素晴らしい講演だった。
講演会を主催いただいた日本山岳会京都・滋賀支部の皆様、協力いただいた日本山岳会東海支部技術向上委員会の皆様にお礼申し上げます。また、同志社山岳会を共催として参加させていただき、誠にありがとうございました。

講演会風景 新島会館の大ホール。他に礼拝堂もあり、全体が教会の雰囲気があるお洒落な建物。

1.イグルスキー米山氏による「北海道式の山の登り方 北の山への誘い」

米山氏は北海道大学山岳部にて登山キャリアを積んでいる、所謂山岳エリートである。北海道の奥深い山々を対象に、もっと軽い荷物でもっと遠くへという欲求から3F(テントフリー・ストーブフリー・登山靴フリー※地下足袋を使う)のポリシーに至った。雪山だと登山靴フリーは厳しいが、テントはイグルー、ストーブは焚き火でフリー化に成功。装備を廃して自然のものに置き換え、「野生」の山に近づいている。

クライミングだとナチプロやロープソロ、高峰登山でも無酸素など、現在の登山はピークハントのみならず、装備に頼らないクライミング手法などの新たな価値観を取り入れている。イグルー技術は、間違いなくその一つの価値観を提供してくれている。

もっと深く知りたい方は米山氏の下記の著作及び、HPを参照のこと。
著作:「冒険登山のすすめ」ちくまプリマー新書,2016年10月)
HP: https://igloosky.com/author/yoneyama/

利尻南稜にてイグルー設営

イグルーから顔を出す「イグルスキー」米山氏(2021/3/24)

イグルー利用で白山美濃禅定道より白山を目指す(2021/3/24)

2.清水克宏氏による「京都岳人が拓いた奥美濃の道なき山の今」

題名をみられた方は、岐阜県奥美濃と京都岳人の関係を不思議に思われるかもしれない。しかし、日本山岳会の初代岐阜支部長は今西錦司氏が務められた。また、今西氏は『ぎふ百山』(1975年,岐阜県山岳連盟編著)の山名リストを読んだのち「岐阜にはまだこんなええ山がいくつもある。こんな山が抜けているようではあかんな」と言ったと記録されている。その言葉は、清水氏が上梓された『岐阜百秀山』へと繋がっている。

講演は森本次男著『樹林の山旅』の紹介から始まった。その後、岐阜県の森林率(全国2位!)や都道府県別の登山・ハイキングの行動者率の統計データを示して、岐阜県が豊かな緑に恵まれている一方で利用度が比較的少ない現状を分析されていた。この背景から、多くの人が、もっと山を活用して欲しいとの想いを持ったと話された。

詳細は別途レポート参照:
https://www.yamanohi.net/report.php?id=1703(2021/10/27)

岐阜県の山岳をくまなく歩き回った清水氏が、若人にオススメの奥美濃の山を紹介されていた。いずれも、アプローチがしづらく、一般道が無い癖のある山との事である。
 (注:三周ヶ岳は現在では一般登山対象の山です。その横の高丸は登山道がありません。)

〈若人への奥美濃オススメの山〉
・笹ヶ峰(1285m)
・三周ヶ岳(1292m)
・千回沢山(1246m)
奥美濃の秀山々を知りたいのであれば、本を読み、実際に自分で歩いてみるのが一番の近道である。そこで待っているのは、時代が経つにつれて難易度が上がる山(アプローチ道の消失など)や一般登山道のついていない山々である。情報過多の時代に反した、野性味あふれる山々は、私たちに新たな気づきを提供してくれるだろう。

笹が峰(1285m)へのアプローチ

三周ヶ岳(1292m)と夜叉ケ池

千回沢山(1246m)へのアプローチ

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