閉じる

ホーム

  •   
  •   

閉じる

山の日レポート

山の日レポート

日本山岳会『山』より

街で、山で、「山の日」をPR

2021.06.01

全国山の日協議会

地域発「山の日」レポート 日本山岳会群馬支部事務局長 根井康雄

群馬支部では山の日関連のイベントとして、「ぐんま山フェスタ」と「山の日イベントin谷川岳」に主催団体の一つとして積極的にかかわっている。2020年はコロナ禍でいずれのイベントも中止を余儀なくされたが、来年以降、より充実した内容で再開できることを願っている。
 「ぐんま山フェスタ」は、山の日が制定された2014年の8月、地元紙の上毛新聞社などが実行委員会を組織して、県内の登山・ハイキング情報を発信する場として前橋市の群馬県庁1階の県民ホールで始まった(以来、同会場で開催)。13年に創立したばかりの群馬支部では、日本山岳会と山の魅力をアピールする事業を模索していたが、翌15年から群馬県山岳連盟、群馬県勤労者山岳連盟とともに後援という形で参画することになった。この年は本部の特別事業補助も得て、群馬の山の写真展示や会員によるパネルディスカッション「群馬の山を語る」などを行った。
16年から3団体は共催に加わり、群馬支部では「マナスル60年」を記念して、記録映画上映と同峰に2度遠征している田中壯佶支部長(当時)による講演会を開いた。また日本山岳写真協会会長で群馬支部の橋本勝会員による写真展示なども行った。

山岳3団体が連絡協議会
さらに、この年以来、木暮理太郎(日本山岳会第3代会長)の資料展示を、地元で顕彰活動を続ける「木暮理太郎翁の足跡を語り継ぐ会」の協力を得て行っている。また同年4月には八木原圀明・日山協会長の肝いりで群馬県山岳団体連絡協議会が日本山岳会群馬支部、群馬県山岳連盟、群馬県勤労者山岳連盟の県内山岳3団体によって設立され、名実ともに群馬県の山岳団体が結集して山フェスタの中核を担う態勢が整った。山フェスタはその後も来場者数は増え続け、19年には二日間の開催で7000人が訪れるまでに育ってきただけに、20年のコロナ禍での中止には無念の思いが募る。
 一方、「山の日イベントin谷川岳」は同じく2014年8月、山の日制定を機に谷川岳を擁するみなかみ町で山の日のプレプレイベントとして始まった。15年のプレイベントでは一ノ倉沢での登攀や講演会などもメニューに盛り込み、また1泊の縦走コースが組み込まれた年もあったが、現在は8月の「山の日」に日帰りの登山、ハイキングツアーを行っている。16年以来、群馬県山岳団体連絡協議会と地元みなかみ町の谷川岳エコツーリズム推進協議会の主催で、日本山岳会群馬支部では一ノ倉沢、幽ノ沢出合を経て芝倉沢出合の虹芝寮までのコースで自然観察会を行ってきた。虹芝寮で飲む天然水で淹れたコーヒーと豊富な地元スィーツも人気で、緑のインタープリターや地質の専門家など、支部の人材も生かした谷川岳の地形や地質の現地学習、山麓の自然観察とともに好評を博している。

パネルディスカッションで群馬の山を語り合う(山フェスタ2015)

自然観察会や峠越えツアーも好評

そのほか、谷川岳への登頂ツアーや、清水峠越えの弾丸ツアーなども人気で、各団体からスタッフを出し、安全をモットーに山を楽しんでもらっている。毎年、ツアー参加者は100人ほどだが、ポイントラリーの参加者も含めると500人近くが集う。また上野からJRの「山の日谷川岳号」も運行され、この日の谷川岳はいつも以上の賑わいとなる。
 18年は、「ぐんま県境稜線トレイル」の開通に合わせての盛大な開催が予定されたが、前日にトレイル巡視中の防災ヘリが墜落する惨事が発生。稜線トレイル関係のセレモニーは中止となり、この年の「山の日」は、けっして忘れられない日となった。
 「山の日イベント」も2020年はコロナ禍で中止を余儀なくされた。「山フェスタ」とともに、年々盛況を続けてきただけに残念でならない。両イベントの継続には、コロナ禍終息を願うとともに、「withコロナ」の時代のイベントのあり方も考えながら、新たな運営方法を見出していかなければならない。実に重い課題だが、山岳団体がまとまり、自治体や地元および関係諸団体も含めた結束と協力体制をより広く構築して乗り越えていきたい。(日本山岳会「山」2021年1月号より転載)

「山の日イベントin谷川岳」でのツアー出発式の様子(2018年8月11日)

RELATED

関連記事など