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山の日イベント

山の日イベント

全国「山の日」フォーラム

第6回全国「山の日」フォーラム(石川県加賀市) 【報告2】

2021.06.11

全国山の日協議会

炭焼きの復活

過疎の炭焼き村に若者来るそして世界とつなぐ
~若者たちに支えられて~

報告者:
一般社団法人 おおづち 代表理事 二枚田 昇

過疎化が進んで自分の生まれた故郷が廃村になってしまうのではという思いで、自分にできる事を考え昔この地区で行われていた炭焼きを復活させました。長年炭焼きをしていた父親の助けを借りて小さな窯を作り知り合いの山から木を切り出し約一週間かけての炭焼き作業です。
初めての窯出しは緊張しましたが楽しみでした。炭の購入依頼も少しずつ増えてきて年間に5~6回の炭焼きを行っていました。その当時に伐採した山の木が今では3メートル以上の高さになり森が若返りました。

石垣の修復

小学生対象の自然体験の受け入れ

同時期に小学校5、6年生対象の自然体験の受け入れを始めました。加賀市内の小さな学校を中心に7、8月の夏シーズンだけの活動でした。一泊二日の日程で初日の午前中は村のすぐ上の山登りです。
標高500mくらいの低い山なのですが、斧いらずの山ということで、ブナ、ケヤキ、などの大木が沢山あります。木登りをできる木がありこれは子供たちに大変評判が良かったです。このような低山にこれだけのブナ林があるのも珍しいのでブナの実や大木に付けられた熊の爪痕などと良い経験になったのではと思います。
この当時はブナの木にも花が咲き実がついたのですが、最近5、6年は花も実も付いたことはありません。今年に至っては村の中の柿の木にも実がなくクルミも多くは無くて、40~50年の杉の木が熊によって皮を剥がれている状態です。このままだと切り出す時期が来ている杉の木は近い将来に全滅の可能性があるのでは?
山奥に生活する私にはこの現状を見て熊が町へ出ていくことがあり得ることだと思います。冬眠前に色々なものを食べて最後に食べるものが決まっているそうです。空腹では彼らも冬眠することはできないのではないでしょうか?

景観維持と国際work camp

イノシシなどの獣害に悩まされる山奥の村ですが、景観維持という観点で2013年からボランティア受け入れを行っています。
始まりは国際work campということで日本人2人海外から3人の若者たちで始まりました。国籍はウクライナ、フランス、アメリカ、で二週間の共同生活でした。棚田作業、畑作業、石垣の修復、など7月の暑い日に頑張ってくれました。初めての受け入れで少し不安もありましたが、明るく楽しい若者たちであっという間の二週間でした。
国際work campは夏と冬に開催していて、これまでに20か国以上の国から参加してくれています。都会育ちの若者たちには昔ながらの山村の生活が新鮮であり楽しい時間のようです。ここでの新しい出会いが彼らにとっては将来への良いきっかけにもなっているようです。

この受け入れは東京のNICEというNGO団体がコントロールしてくれています。
NICEからの提案で台湾&日本二ヵ国campも夏冬と毎年二回開催していて、毎回台湾から十数名日本から4、5名の参加者があり9日間の滞在で、これまでに100名以上の台湾からの若者たちが来てくれています。台湾の若者たちにとってもこの集落の生活は珍しく刺激的なようです。
特に冬の雪は雪のない台湾の人には感激のようで雪かきのつらい仕事も楽しくて、雪合戦をしたり雪ダルマを作ったり雪景色をカメラで写したりと思い思いに体験しているようです。そんな彼らに会いたくて台湾まで出かける楽しみも増えました。
参加者の意見を取り入れて、社会人にとっても参加しやすいようにということで週末campを4月から11月まで毎月開催しています。
リーダーは大学生がすることが多いのですが、学生たちにとって社会人はすぐ目前のことということもあり毎回有意義な時間をすごしているようです。

棚田作業

ボランティアの受け入れ

自分の生まれ故郷が廃村になってほしくないという思いからボランティアの受け入れを始めたのですが、若者たちと触れ合ってみて彼らの思いや悩みなどを聞き、彼らがどんな思いで今を生きているのかが少しばかり理解できたように思います。
この山奥は昭和30年代の風景がそのまま残っているような場所です。
非日常なところで非日常な生活をして初めましての友達と自分たちの将来についていろいろな話をして、それぞれがそれぞれの道を歩みだしていく。

受け入れを始めて7年。学生だった若者も社会人になり、野菜を送ってくる者、地酒をもって山奥へ帰ってきてくれる者、仕事のストレスで悩んで憂鬱な顔しながら帰ってくる者、そんな彼らの顔見ながらいろんな話をしながら飲むお酒はおいしいです。

畑作業

若者たちに支えられて

子供の居ない私はこんな経験をすることは無いのだろうと思っていましたが、多くの若者たちのお陰で齢60を過ぎて楽しい毎日を送っています。この年齢になってもまだまだ未熟者だと思っているのですが、彼らの前ではまだ少し役に立てるようで楽しくなっています。
この何もない小さな過疎の村が何かしら魅力あるようで不思議です。支えられています都会育ちで山奥のことを何も知らない若者たちに、大土での7年間は多くの過疎地が抱える問題解決の一助になるのではないでしょうか。

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