アンバサダー
エッセイ
登山と温泉
2021.02.11
山登りの後の熱いお湯。野趣に溢れた山温泉。
雄大な自然、風光明媚な景色。
代えがたい至福のとき。
たっぷりの湯にゆっくり首まで浸かると、手足の指先から染み入る温熱。
湯と体との境界がたちどころに消えて、徐々に一体となる感覚。
悠久の大地に包まれて、まるで地球の羊水に溶け込むよう。
緩やかに心が清められ、疲労が抜け出ていく。
静寂に囲まれて、神様に触れる時間。
透き通る湯、濁りの湯。匂い。
山登りの疲労を流し、脚をゆったり伸ばして恵みの湯に溶け込む。
ああ、なんという気持ちの良さ。
小さな自分の存在を洗う、清らかで美しい露天温泉。
国土の7割を山地が占める日本は世界有数の火山国。その豊富な水脈とマグマの熱。
古来より先人が親しんできた豊かな湧出と悠然の歴史に思いを馳せれば、浮かび上がる畏敬と感謝。
山登りと温泉ほど贅沢な組み合わせがあるでしょうか。
源泉のかけ流れる音響、ゆらゆら揺れる柔らかな湯面。鳥の声を聞いて、また山肌を眺める。
いつまでも浸かっていたい。
日常の倦怠から逃れて、くさぐさの考えごと。
そして素晴らしいお湯の後には、楽しみにしていた夕食が待っているのです。
露わな自然に覆い尽くされ、心から寛ぐ格別の時間。
RELATED
関連記事など