アンバサダー
エッセイ
山と自然に親しみたい!
2021.09.01
登山YouTuberのかほです。
国民の祝日「山の日」は登山や観光以外の「山」も広く対象にしていると伺っていますが、職業柄、私からのエッセイは登山のお話になりますこと、ご容赦くださいね。
登山をする人の中にガイドと山に出かけたことのある人はどのくらいいるのだろうか。かく言う私も登山を始めて5〜6年経つが、ガイドとともに山に登るようになったのは最近のことだ。ガイドを個人で依頼するとなると費用面がネックとなるが、私はソロ登山も行いつつ日々の出費を少しずつ節約して費用を捻出している。今回は私が感じたガイド登山の魅力をお伝えしようと思う。
会社員時代にふと思い立ってソロで登山を始めた。(登山を始めた経緯を詳しく話すと長くなるのでまた別の機会に…!)
当時、友人に声をかけてみようとも思ったのだが、装備をしっかり揃えようとすると費用がかかるし、体を休めるための週末に山に誘って体力を消耗させるのがなんだか申し訳なく感じたのだ。
「一人で山に登ってさみしくないの?」と聞かれることもあるが、もともとおひとりさま行動が好きな私には自分の時間を自由に使えるのが心地よく、また同じようにソロで来ている登山者と仲良くなったりと、単独山行を満喫していた。ひとりで山に登ったと言う達成感はひとしおで、私は“ソロで登ることに意味があるんだ”と思うようになっていた。
ガイドと登山することの大きな魅力の一つはレベルアップした山に挑戦できることだ。昨年から雪山にも挑戦しようとひとりで北八ヶ岳に訪れたりもしたが、雪山はリスクが高くひとりで登るのには限界があった。そこで私はガイドを依頼することを決めた。
私が初めてガイドを依頼したのは同じ山の日アンバサダーでもある国際山岳ガイドの近藤謙司さん。前々から登りたいと思っていた冬季の谷川岳に日本三大急登の一つと言われる西黒尾根ルートで登った。自分ひとりでは到底歩けないような片側が切れ落ちた斜面も、近藤さんの知識と技術に支えられて歩くことができた。
ただし、ガイドと一緒だから大丈夫と言う心算はよろしくない。忘れてはいけないのはあくまでも歩くのは自分自身で、ガイドと客は山行をともにするパートナーだと言うことだ。
西黒尾根はとにかく長かった。歩いても歩いても山頂にたどり着かず、次第に足が動かなくなり目に涙を浮かべ歯を食いしばりながら足を前に出した。(近藤さん、あの時はごめんね!)やっとの思いで山頂に到着すると感動がこみ上げ、何よりも自分が誇らしかった。ソロで登らないと達成感が減ってしまうのではないかと思ったこともあったが、今まで登ったどの山よりも大きな達成感と充実感があった。辺りは真っ白で視界はなかったが、私にとってはどんなに晴れた山の上から見る景色よりも脳裏に焼きつく素晴らしい景色だったと思う。
近藤さんとの谷川岳山行以来、私は月に一回ほどのペースでガイドと山に登っている。
6月には屋久島を田平さんと言うガイドに案内してもらった。当初、インターネットで得た情報を元に5月上旬に行く計画を立てていたが「6月上旬の方が花の最盛期でおすすめですよ」と田平ガイドに教えてもらい予定を変更した。
いざ山に入るとヤクシマシャクナゲが咲き乱れていた。また、屋久島の森の歴史や植物について聴きながら山を歩くことで、ひとりで登山するよりも山を深く感じることができたのではないかと思う。ガイドさんの知識が加わることで、その山の魅力を最大限に味わうことができるのだ。
単独や友達同士で出かけるのに比べるとガイドに依頼するのは費用がかかる。しかし、その山行は一生の宝物となるような払った金額以上の価値のあるものとなるのではないかと思う。
そして私もいつかはそのような山の旅を提供できるような存在になりたいと、登山ガイドの試験に挑戦したいという気持ちでいる。
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