アンバサダー
エッセイ
私、ワクワクする気持ちを伝えたいんです
2021.11.01
それは私が物心がつく前。
家族で登った筑波山でした。
7歳と5歳の兄の背中を追うようにして、
抱っこをせがみながらも3歳の私は自分の足で登頂したと両親から聞いています。
なんとなくでしかありませんが記憶の片隅で鶯の声を聞いて、
父に「ホーホケキョ」の鳴き声は鶯だと教えてもらい、その後は鶯の声を頼りに山頂を目指したような気がします。
そんな私も今年母となり、
生後4ヶ月を迎えた娘の出会いの山はどこにしようかと想像を膨らませる日々を過ごしています。
まずは歩くよりも山の空気を感じてほしい。
都会にはない清々しく静かな朝、
痛いほど冷たくて透き通った沢の水、
生き生きと生い茂る植物、
そして雄々しくも包容力のある山々。
触れることで記憶に刻まれていく思い出を頼りにきっと自然を身近に感じながら育つ事が出来るだろう。
そして意識しないうちに愛し、感謝する、
故郷のような存在になってくれたら嬉しい。
娘と山の出会いはとても重要だけれども
日本には選びきれないほど素晴らしい山々が溢れているから悩んでしまう。というより、
どこの山を選んでも間違いはない。
私にとって、
近所の里山とアルプスは同じ山だけど別物。
でも魅力度、満足度としては変わらないのです。
娘の成長や季節に合わせて山を選ぶのもまた楽しいなと想像しています。
娘と歩く山は今まで見た景色とは全く別世界なのだろう。
一歩の視界に入る世界をゆったりと楽しむなんて
きっと初めてで、彼女の興味がどこに向くのかもとても楽しみ。
山頂への達成感なのか。
足元に咲くお花や苔、昆虫や動物なのだろうか。
ご褒美は絶景……ではなくどんなおやつになるのだろう。
それ以前に登ることをとても拒否する子かもしれない。
それもそれでまた新たな楽しみが見つかるだろう。
山へ行けない今、
そんな事を考えながら過ごす時間も愛しく感じています。
そしていつも変わらぬ姿で、どんな私でも受け入れてくれる山へ次は娘や家族と帰る日が待ち遠しいです。
山頂や山小屋で音楽を奏でながら登山客の皆さんと触れ合う時間など到底戻れる昨今ではないけれどいつか娘ともそんな時間を共有出来たら、
「山での人との出会いもかけがえのない宝物なんだよ」と伝えたいです。
焦らず娘の成長を見守りながら、
一歩、二歩三歩と山を登るように一つずつ山の素晴らしさを伝えていければと思います。
歳を重ねても
一人でも、家族でも、何度でも、いつまでも
厳しくも優しい姿で受け入れてくれる山に
登山歴を重ねるほどに感謝する。
そしてこの自然がどうか娘の成長と共に消え失せて行かないことを願いながら街でも山を思い、
感謝できるそんな自分でありたいです。
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