
山の日レポート
通信員レポート
里山と山の日 ミニセミナー が開催されました
2026.09.02
くまの木里山応援団の市川貴大団長からリポートを預りましたので、掲載いたします。
「里山と山の日ミニセミナー」(主催 くまの木里山応援団、後援 飛騨市、公益財団法人全国山の日協議会)が2026年8月10日(月)、飛騨市役所西庁舎3階大会議室にて開催され、20名が参加しました。8月11日に開催される第10回「山の日」記念全国大会 岐阜in飛騨高山に先立ち、山の日制定運動に参画された里山保全・再生活動の方とミニセミナーを開催しようということになり、2025年度に樹杜屋あらべぇ(岐阜県飛騨市)さんに海外製の簡易製材機を設置していただいたこともあり、岐阜県飛騨市にて開催することにしました。

開会に先立ち、飛騨市の都竹淳也市長と全国山の日協議会の梶正彦理事長から来賓あいさつをいただきました。
都竹市長からは「飛騨市の森林率は93.5%で、約8割が広葉樹になっています。広葉樹はチップ利用程度しかされていなかったことから、広葉樹のまちづくりとして、生活の中で資源をつかっていく取組を川上から川下まで実施しています。今後人口減少していく中で、どう山と向き合っていくのかが問われています。」と述べられました。
梶理事長からは「国民の祝日である「山の日」について、これからの10年間、次世代に続けていけるようにしていくのかが問われています。来年の山の日全国大会は香川県で開催される予定で、テーマは「里山と里海」で里山の大切さを伝えていく予定です。」と述べられました。
山の日全国大会の内容は第1~9回までは登山や自然保護がメインで、人間が資源を利用し続ける里山がテーマとして発表されることはあまりありませんでした。

都竹 飛騨市長

全国山の日協議会 梶理事長
くまの木里山応援団の市川貴大団長から、「里山とは人の手によって長い年月をかけて維持・利用されてきた地域のことですが、戦前の過剰利用から昭和30年代の燃料・肥料革命により放置され、いまでは生活に使われなくなり奥山化・樹木の老齢化しているのが実態です。2014年に制定された国民の祝日「山の日」の意義は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ということですが、林野庁ホームページでは「森林」と「山」は地場芝同じ意味で用いられているとされているように、ぎふ山の日やぎふの山に親しむ月間の趣旨においても森林(山)と表現されています。このため、「里山に親しむ機会を得て、里山の恩恵に感謝する」と解釈できますし、里山保全・再生活動を今後展開していくためには、任意団体のみならず、作業を遂行する個人や法人でも良く、様々な支援や助成が行われるべきでは。」と述べました。

くまの木里山応援団の市川貴大団長
①森林資源の価値創造とその仕組みづくり~飛騨市・広葉樹のまちづくり~
飛騨市林業振興課の砂田貴弘主査から、「飛騨市は93.7%の森林が占め、うち民有林の67.5%が広葉樹天然林となっており、国大ではほとんどがチップとして流通し、国産家具の多くは輸入材で制作しているのが実態でした。そこで、株式会社飛騨の森でクマは踊るの設立、飛騨市広葉樹活用推進コンソーシアムの設立、市内産小径広葉樹の流通拠点の設置、広葉樹施業基本方針の策定・公表、広葉樹乾燥の短期化、森林認証取得などを通じて、飛騨地域産広葉樹の生産・供給体制が確立され、商品や空間等の提案・制作・施工が可能となっています。」と紹介いただきました。
②伐採・製材・古民家再生・薪ストーブ設置を手掛けて
樹杜屋あらべぇの荒木昌平代表から、「私たちの地域では、山の環境を家の中に、そして家は土に戻っていくという考え方があり、古材の再利用や自ら伐採した丸太をはつりで活用したり、簡易製材機で自ら製材し、日本の伝統的な木造住宅を建てています。当地域では針葉樹の根曲りが多数発生しており、針葉樹薪に適した薪ストーブの設置も行っています。山から材を搬出するためには作業道が不可欠で、作業道があれば将来山林を購入してくれる人も出てくると思います。山の手入れをするとカワセミやアカショウビンなどが多く見かけるようになり、楽しみながら作業し、次世代に価値のある山林を残していきたい。」
と発表されました。

飛騨市林業振興課の砂田さん
①ひろしま「山の日」県民の集いと「山の日」祝日制定の歩み
ひろしま「山の日」の前垣壽男代表から、「広島の西条で日本酒を製造し、伏流水の源である龍王山の手入れが不十分であったことから、一升瓶一本につき1円を寄付し、西条・山と水の環境機構を立上げ、里山保全活動を展開しています。ひろやま「山の日」も当機構と同様に民主体の実行委員会方式で、県内同時開催として6月第1日曜日に里山保全活動を実施しています。これからも「山と海の命・水の循環」のため山を保全していきます。」と紹介いただきました。

ひろしま「山の日」の前垣壽男代表
②新しい文明は森づくりから始まる~えひめ千年の森をつくる会の実践を通して~
えひめ千年の森をつくる会の鶴見武道会長から、「拡大造林や再生可能エネルギー、砂漠化、原発事故などにより森林破壊が続いています。伐採跡地の山林16haを購入し森づくりをスタートしました。森林の公益的機能は50年生以降に高まりますので、天然林への誘導をしています。参加にノルマはなく、ありのままの自分に出会う場として活動を続けています。ぜひみなさん、何でも良いので森と関わるようにしましょう。そうすれば私たちは森に生かされていることに気づくでしょう。」と述べられました。

えひめ千年の森をつくる会の鶴見武道会長
会場からは、生活空間を守るための鳥獣対策や里山などで遊べる場所が少ないのではといった意見が寄せられました。飛騨地方ではクマによるかわはぎ害が多発していますが、シカはあまりいないとのことで、カキやクリの木を伐採する県の事業があるとのことでした。里山については、戦前では共有地が多く、枯れ木や枝は誰でも採取できたと聞いていますが、戦後は個人所有となり、一度も山に行ったことがない方もいるなど、藪化していて遊べる状況にありません。今後里山をどうしていくのか、国レベルで考えるときに来ているのかもしれません。
飛騨古川の街を数時間歩いて散策したところ、街中の街路樹は丁寧な剪定がなされ、生活空間や田畑、林縁部まで藪に覆われているところがみられませんでした。それだけ地域の方々が手入れをされており、関東とは比べ物にならない空間が広がっていました。住宅には木がしっかり使われており、飛騨地方のような生活スタイルをいま一度学び直す必要があるのではないかと勉強させていただきました。
以上のリポートは、雑誌「しもつけの心 No82 秋号」に投稿される予定です。

飛騨市郊外の風景
RELATED
関連記事など