
山の日レポート
国際山の日
12月11日は国際山の日です
2025.11.25
日本の山の日は8月11日に定められましたが、国際山の日(International Mountain Day)、または国際山岳デーは2003年に国際連合総会で12月11日に定められました。

国際山の日ロゴ
公益財団法人全国山の日協議会 科学委員会委員のマハラジャン、ケシャブ・ラル (MAHARJAN, Keshav Lall)さん(地域農林経済学会副会長・日本南アジア学会前会長)より、19年前(2006年)に広島大学で開催された【国際山岳の日のワークショップ】の回想を綴っていただきましたので、当時の資料と合わせてご紹介します。

科学委員会委員 マハラジャン、ケシャブ・ラル さん
国連が2002年を国際山岳年とし、世界中に「山」に関する多様なイベントを開催するようよびかけられた。私自身も日本地理学会が『地理学からの提言:日本山から世界の山へ:ヒマラヤ住民の生活世界と地域環境―生態・文化・開発』のテーマで主催した「国際山岳年金沢シンポジウム2002」にて「ネパール山間地における森林利用と住民厚生」と題する研究論文を発表した。同年キルギスで開催された世界山サミットで、2003年から毎年12月11日今日の日を「国際山岳の日」とすることが合意され、FAO(世界食糧と農業機構)を通じてこの日のイベント用に毎年「山」の持続的開発等に関するテーマを設定し、検討される。2006年のテーマは”Managing Mountain Biodiversity for Better Lives”(山間地住民生活向上のための生物多様性の活用)であった。
同年、ネパールのトリブバン大学農畜産学部教授P Pレグミ博士が広島大学大学院国際協力研究科に客員教授として招聘され、「ネパールの山岳生態と住民生活」の講義を担当していた。レグミ博士と相談の後、広島大学大学院国際協力研究科において『2006年「国際山岳の日」ワークショップ』を開催することになった。同ワークショップの目的は、多くの人々にネパールをはじめ世界中の山間地について関心をもってもらうことであった。早急にネパール、山に関しある方々に声をかけ、4名の方に各自の経験・体験についてお話をいただくことができた(添付当日のプログラム参照)。
中西稜子さんは、国内で交流のあるネパール人の友人に誘われ、初めてネパール訪問した際の体験として、ゴミゴミとしてほこりぽい町と対比的に澄んだ空気、きれいな山・自然について感銘を受けた話をしてくれた。
笠井誠さん(当時可部山岳会)は、何事もゆっくり、ゆっくり(のんびり)としたネパール人の生活・仕事ぶり、いわゆる「ビスタ―リ」について自分の体験話を披露してくれた。
田中勝彦さん(当時日本山岳会広島支部会員)は、マカルベースキャンプ(東部ネパールのヒマラヤ)までのトレッキングと海抜4,300m当たりのセイタカダイオウ[(ダテ科:Rheum nobile) Sikkim Rhubarb/ Noble Rhubarb, (ネパール語:パダムチャル)]との出会いについて紹介してくれた。東部ネパールの山地は当植物(花)の西端の分布地域のようである。
清水正弘さん(当時日本山岳会広島支部会員)は、国際山岳プロガイド・日本山岳ガイド、紀行作家、鍼灸師など多才能の方でした。ネパール、インド、チベット、パキスタン、ブータンのヒマラヤに100回近くに体験でそれぞれの地域に出会った自然、そこに住む人々との接触で感じたことについて、「これらの地域に自分がそんざいしているだけで、何か偉大なものに触れている感覚がする」、「ヒマラヤのような大自然の持つ人間に対する効能は、心身における良薬では」、「現代社会の社会病理に対する処方箋のヒントがこれらの地域の自然や人々の暮らしの中に、隠されている」と興味深く語り、自分がヒマラヤを訪れる回数の増しの理由だと言っていた。
金原達夫研究科長の開会挨拶で始まった当ワークショップには50名以上の学生、一般参加者がお茶飲みながらのディスカッション時間は参加者からの質問、それぞれ自分の体験などで大いに盛り上がり、「山」について有益な交流ができた。
私自身、2025年3月末で広島大学を定年退職してからも残存の仕事でやや多忙にしていたが、最近昔の資料を整理していたところ20年も前の当資料が出てきたので一筆書くのをやめることができなかった。乱文乱筆失礼しました。
2025年11月20日 マハラジャン、ケシャブ・ラル
全国山の日協議会では、2025年12月6日に「国際山の日」2025シンポジウムを東京都で開催します。
2022年には「国際山岳年プラス20」記念シンポジウムを富山県黒部市で開催しました。

「国際山の日」2025シンポジウム ポスター
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