山の日レポート
通信員レポート
福井県大野市の山を紹介します
2025.06.29
福井県大野市と岐阜県本巣市(旧、本巣郡根尾村)、揖斐郡藤橋村の福井県と岐阜県の県境にあります。岐阜県側からは、晩春まで残雪の姿を見ることができます。
伝承によると養老年間(717~723)に、白山を開いた泰澄によって開かれたといわれています。山頂には、岐阜県の能郷集落の祠が祀られています。
登山は、国道157号の温見峠(ぬくみとうげ)にある登山口からが一般的で、尾根までは急登であるが、山頂までの尾根歩きは展望が良く、ダケカンバの樹林も程よくあるため、気持ちの良い登山ができます。温見峠から約2時間30分。
大野市(旧、大野郡和泉村)の岐阜県境近くにあります。大野市の山間部には、平家の落人に関わる伝説や踊りが多く残されています。山名の平家岳も、平安時代の終わりの源平合戦に敗れた平家の落人が、この地に逃れたという伝説に由来します。この山の尾根にはヒノキが多く見られ、標高1000m近くからはシャクナゲが見られます。
登山口は市街地から国道158号を岐阜県方面へ進み、九頭竜湖にかかる箱ガ瀬橋を渡り、面谷(おもだに)鉱山跡を過ぎた場所にあります。所要5時間。
大野市の南側、九頭竜川の支流である真名川の源流部に近い場所にあります。姥ヶ岳の西に広がるなだらかな斜面は、平家平と呼ばれていて、昔、平家の落人がここに隠れ住んでいたといわれています。麓の大野市巣原集落(旧西谷村巣原)には、平家の落人が京を懐かしんで舞い踊ったという「平家踊り」(福井県指定文化財)が伝わっています。
山頂までの登山道には、ブナ林やオウレン畑、本州の南限とも言われるミズバショウ群生地などがあります。
加越山地:越前三ノ峰(2095m)※三ノ峰(2128m)、二ノ峰(1962m)、一ノ峰(1839m)、願教寺山(1691m)、野伏ヶ岳(1674m)、赤兎山(1628m)、経ヶ岳(1625m)
その他:飯降山(884m)※(おたけさん、御岳さん)、銀杏峰(1440m)、部子山(1464m)
白山国立公園の南西部に位置する白山連峰のひとつで、福井県での最高地点ということで近年、命名されました。本州では、最西端の2000m地点に位置しています。現在、石川県と岐阜県の県境に位置する三ノ峰(標高2,128m)は、岐阜県石徹白からの美濃禅定道に位置しており、禅定道にあるピーク順に一ノ峰(標高1,839m)、二ノ峰(標高1,962.3m)、三ノ峰があります。この周辺を南西限とするハイマツ・ハクサンコザクラなどの高山性の植物もみられます。また、二ノ峰はアオモリトドマツの自生地ともなっており、三ノ峰から二ノ峰にかけては素晴らしい自然の宝庫です。
三ノ峰(一ノ峰から見た)
石川県との県境にある山で、丸みを持った優しい山容でうさぎのような形をしているためこの名前がつけられたといわれています。山頂からほど近い高層湿原、避難小屋のある赤兎平周辺では、6月下旬から7月上旬にかけて、ニッコウキスゲなど高山植物が咲き誇り、季節ごとに草花が楽しめます。大野市側からは約○時間かかりますが、勝山市側からは距離が短く展望が良いため、初心者も多く訪れる山です。
赤兎 赤池と避難小屋
山頂の全てが福井県内に位置する山としては、最高峰の山で、山名の由来は1574年(天正2年)白山信仰の拠点である平泉寺の住職が一向一揆の兵に焼き討ちされた際に、山頂に焼けた経巻の灰を埋めたことによると伝えられています。
経ヶ岳が火山活動をしていたのは、今から約100万年前で、そのとき流出した溶岩により山麓に六呂師高原が生まれました。六呂師高原にある南六呂師は過去に星空日本一に選ばれた場所で、近年、星空の世界遺産と呼ばれる星空保護区に認定されています。星空保護区認定カテゴリーは、「アーバン・ナイトスカイプレイス」でアジア初となります。
山頂直下に噴火の名残の火口跡が見られ、「池ノ大沢」と呼ばれる平らな湿地帯で春には水芭蕉が咲く。九頭竜川支流の唐谷の源流の南斜面には火口壁があり、南西の大野市の麓からもその火口壁を見ることができます。
経ヶ岳と岩
福井県大野市と福井市との境に位置する山で、大野市街地からは、三角錐の美しい姿を見ることができます。山名の由来は「昔、山の頂上で3人の尼僧が修行をしていた際に、毎日、3つの握り飯が降ってくるようになった。ある日、分け前を増やそうと1人の尼を2人が殺してしまうと、二度と降って来なかったという」伝説からです。地元では「御嶽(おたけ)さん」とも呼ばれ、養老年間に泰澄により開かれた信仰の山で、33年に1度、秘仏が公開されます。6月の第1週には、地元の山岳会が募集登山を実施しています。
飯降山
福井県大野市の市街から見ると、西南方面にひときわ高くそびえる山。山名は中腹に銀鉱山があったことからの由来とされる。鉱山跡は登山口付近に標識と石垣跡が残る。
かつては積雪時のみに登れる山だったが、現在は登山道が地元有志によって整備されて多くの登山者が訪れるやまとなっている。宝慶寺いこいの森から登るのが一般的で、駐車場とトイレも整備されている。
山頂からは360度の大展望で、白山連峰をはじめ、能郷白山や姥ヶ岳などが美しい。
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大野市は、福井県の東部に位置し、東は越美国境と、北は加越国境に接し、市域には標高1,000m~2,000mの山々があります。
代表的な山として、日本百名山の荒島岳(1523m)、日本二百名山の能郷白山(1617m)、日本三百名山の経ヶ岳(1625m)と野伏ヶ岳(1674m)、福井県の最高地点である越前三ノ峰(2095m)や加越国境のニッコウキスゲの群落で有名な赤兎山(1629m)などがあります。
山々に囲まれた大野は、多くの恵みを得ており、古くから山に対する信仰は厚く、白山神社をはじめ山の名前がついた神社が今も地域の方々の手で大切に守られています。
また、大野市の五箇地区や和泉地区は、白山との関係が特に強く、白山を開いた泰澄が使った箸を地面に刺したところ根がついたという言い伝えのある福井県指定の天然記念物「白山神社のカツラ」や、白山を開いた泰澄が大蛇を刈り込んだ(退治)という伝説が残る「刈込池」など、史跡や景勝地があります。早春や晩秋に白く目をひく白山に対する畏敬の念は強く、今も市内各所に白山神社が祀られています。
大野市の山々は、四季を通じてさまざまな登山が楽しめる場所です。
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第9回「山の日」全国大会FUKUI 2025の会場の一つである福井県大野市。
大野市の魅力的な山々を大野親岳会の佐々木伸治様よりご紹介いただきました。
座禅岩と銀杏峰
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