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山の日レポート

山の日レポート

山の日 TOKYO 2024

東京都水道局の取組②

2024.08.22

全国山の日協議会

私たちが毎日使っている水道水の源である水道水源林はどのように管理されているのでしょう。
水道水源林を管理し、将来にわたって緑豊かな森林として守り続ける東京都水道局の取り組みをご紹介します。

水道水源林はどのように管理されているのか?

 森林の保全・育成は長い年月をかけて行うものであり、水道水源林に関しても、将来を見据えた計画的な森林管理が重要となります。そのため東京都水道局では、これまでにおおむね10年毎の計画を策定し管理を行ってきました。現在は、第11次水道水源林管理計画(計画期間:平成28年度~令和7年度)のもとに、計画的な管理を続けています。
 具体的な管理方法としては、樹木を間引く間伐作業、余分な枝を切り落とす枝打作業などの森林を保全する作業や、シカやクマの食害などから樹木の被害を防除する獣害対策など、水道水源林が健全な状態に保たれるよう森林状況に合わせた手入れを行っています。また、山地災害の予防や崩壊地の復旧を図る治山事業、効率的な森林の管理を行うための林道などの整備も行っています。

写真:枝打作業

写真:崩壊地の復旧

なぜ水道水源林を適切に管理することにより、きれいな水を安定的に届けられるようになるのか?

 森林は適切に管理され、健全な状態が保たれることにより、様々な機能を発揮します。特に水道水の源である水道水源林においては、次の機能が重要となります。

【水源かん養機能】土壌に水をたくわえる機能です。健全な森では、落ち葉などを分解する微生物などの働きにより、スポンジのように小さな隙間が沢山ある保水力の高い土壌が作られます。森に降った雨はこのふかふかの土壌を通って地中深くに浸透し、たくわえられ、地下水となって川へゆっくり流れ出ます。川に流れる水の量が緩やかになることで、河川の急激な増水や渇水が緩和されます。

図:水源かん養機能のイメージ

【土砂流出防止機能】土の流出を防ぐ機能です。健全な森では、木の枝や葉、落ち葉などがクッションとなり、雨が直接地面を打ちつける衝撃を和らげます。ふかふかの土壌は雨を素早く浸透させ、土が雨水とともに流出することを防ぎます。樹木の根が地面をしっかりと押さえるため、土砂災害が起きにくくなります。

図:土砂流出防止機能のイメージ

 こうして、水道水源林が適切に管理され、緑豊かで健全な状態が保たれることにより、森林の機能が発揮され、多摩川上流からきれいな水を安定的に届けることができるようになります。その他にも、森林土壌内で雨水をきれいにする機能や、地球温暖化の緩和、生物多様性への貢献など、水道水源林は様々な機能を有しています。

その他、水道水源林に関する東京都水道局の取組について

 東京都水道局では多摩川の河川流量の確保と小河内貯水池の保全を図るため、水道水源林を管理しており、そのためには、将来にわたって緑豊かな森林となるよう守り続けていくことが重要と考えています。そこで「第11次水道水源林管理計画」のほかに、重点的に取り組むべき内容をまとめた「みんなでつくる水源の森実施事業2021」を取りまとめ推進しています。この計画では、「都民の理解を促進する取組」、「多摩川上流域における民有林の保全・管理」、「多様な主体と連携した森づくり」の3つを柱としており、「多様な主体と連携した森づくり」では都民や企業などと連携した水源の森づくりを行っており、参加者の拡大を目指しています。



多摩川水源森林隊について

 都民と連携して水源地の保全を行う取組として、「多摩川水源森林隊」があります。多摩川水源森林隊は、多摩川上流域で林業の不振などにより手入れの行き届かなくなった民有地の人工林を、ボランティアの方々の手で緑豊かな森林に再生することを目的に、平成14年に設立されました。
 活動は、多摩川上流域の東京都奥多摩町、山梨県小菅村、丹波山村、甲州市の森林で実施しており、経験豊かな指導員がボランティア1人1人の経験や技術に合わせた丁寧な指導を行うことで、間伐や枝打、道づくり作業などを行っています。



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