山の日レポート
自然がライフワーク
平安貴族の恋文・オトシブミ
2024.06.24
初夏、 山道沿いの樹々は鮮やかな緑の葉を広げています。
その葉っぱの中には細く丸まった葉もあります。しおれて丸まったのでしょうか?
いえ、そうではありません。 小さな昆虫がある目的の為、苦労して丸めて作ったのです。
丸まった葉はエゴツルクビオトシブミという全長8mmほどの小さな昆虫が卵を産みつけた「産室」なのです。
この葉っぱをひろげてみると・・・・・
筒の中の卵はやがて孵り、産まれた赤ちゃん虫は産室とされた葉を食べてスクスク育ちます。
お母さんが作った筒状の葉は天敵の眼から身を隠す産室、寒さや雨をしのぐ揺りかご、そして食べ物にもなるのです。
近くの葉をよく見ると黒い小さな昆虫が何やら仕事をしています。メス(お母さん昆虫)です。
メスは葉の根元近くにJ字型の切込みを入れ、その先を二つ折りにし、少し巻いたところで卵を1個産み付けます。
これで、やっと完成です。卵が無事に孵化しますように。そして元気な成虫に育ちますように。
種類によっては筒状に丸めた葉を切り落とすものもあります。初夏の道を歩いていると、そういう小さな筒が落ちています。オトシブミ(落とし文)です。
昔々やんごとなき公家の男性は見初めたお姫様に想いを伝えるため、通りかかる道に恋の歌を書いて、丸めて落としておきました。そのロマンチックな風習がこのオトシブミという昆虫の名の由来です。
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私たちは身近な自然の中で自然観察会を開催しています。ここでは目にする生き物や植物をじっくりと観察します。鳥や虫ならその行動も観察します。この草はなぜこんな形をしているのだろう? あの鳥は今何をしているのだろう?とか。
植物も動物も一つの種で、自分たちだけで生きているのではありません。 生き物同士の繋がり合い、競い合いに目を向けると面白い発見があります。
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