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山の日レポート

山の日レポート

通信員レポート「これでいいのか登山道」

【連載】これでいいのか登山道

2024.03.01

全国山の日協議会

よりよい山の道をめざして、私たちにできることは何だろうか?

 登山道法研究会では、これまでに2冊の報告書を刊行していますが、この度、2023年8月に出た2巻目の報告書『めざそうみんなの「山の道」-私たちにできることは何か-』が、本サイトの電子ブックコーナーで無料で読めることになりました。https://yamanohi.net/ebooklist.php

 そこで研究会代表の上幸雄さんに、その内容を分析して頂きました。また紙の報告書をお手元に置いてお読みになりたい方々には、実費+送料で頒布していますので、後段にあります方法でお申込みください。

連載⑱ “山に関わる人たちは「登山道」にどんな関心を寄せているか” ―『これでいいのか 登山道 第2集』への投稿内容を分析して―

文・写真  上幸雄(登山道法研究会代表)

はじめに

 登山道法研究会では同法の成立を目指して、またその必要性があるかどうかについて山岳関係者の意識を把握するために、会員がこの間、ヒアリングや現地調査を行っています。第1集に当たる『これでいいのか登山道』(2019年8月「山の日」刊行)では当会会員を主体にして、このテーマに関し問題提起を行いました。
 第1集刊行時に、当活動に対する賛意をいただいた方、実費頒布へのご協力をいただいた方、活動への問題提起や関心を寄せていただいた方から、登山道に関するご意見・ご提案などを仰ぎ、作稿をお願いしました。それを1冊にまとめ、「これでいいのか登山道 第2集」『めざそう、みんなの「山の道」』-私たちにできることは何か―と題して、昨年の夏に刊行に至りました。

 幸いにして、さまざまなお立場から多様なご意見・ご提案をいただくことが出来ました。それらの1つひとつが貴重なご意見であると同時に、それらを集合した全体としての登山道に対する現状認識から問題提起、提案までの総体は、現状を捉え、今後の登山道のあり方を考える上で、大いに参考にすべき内容であると思われます。
 そこで、本稿では登載された原稿の内容を分類・整理したうえで、山岳関係者は登山道の何に関心があるかなどについて、その傾向を把握し、今後の登山道のあり方への参考の一助となることを目指しました。
 ただし、この集計結果は、項目ごとに明確に分類できない、項目がダブるなどもあり、数値が確定的でないことが避けられないなどを含めて、全体の傾向をつかむことで限定的に活用する、とのご理解をいただければと願っております。

1.どんな地域からの意見か
 個別の地域からの意見、情報発信と日本の山全体、全国的・全域的に取り上げている原稿とに大きく分けられる。個別の地域では東日本、北日本の比重が大きい。執筆者は個人、研究者として執筆している人が最も多く、山岳団体、ボランティア団体としての執筆者も比較的多い。

2.対象とする公園はどこか
 対象となる山域では自然公園全体としては国立公園が圧倒的に多く、自然公園地域外の山域についても比較的多く取り上げている。研究者や個人の執筆者は特定の地域や公園ではなく、山岳全体を総合的に取り上げ、論じている原稿が多くを占めている。

3.取り扱うテーマは何か
 取り上げているテーマは多岐にわたる。山の現場での活動報告、現状報告が最も多く、次いで、問題提起、提案が多い。テーマ別に執筆者を取り上げると、活動報告については、山小屋やボランティア団体が多く、現状報告は個人からの意見が多く出され、問題提起、提案は研究者や個人から出されている。

4.対象とする施設は何か
 対象とする施設は当然のことながら、登山道に関するものが圧倒的に多く、研究者や個人では、山の施設全般を取り上げている原稿が多くなっている。

5.取り扱うソフト事項は何か
 施設や設備以外に、山に関する法令、維持管理、マナー・ルールを取り上げている原稿も少なくない。その中で、登山道の維持管理について触れている原稿が、立場を超えて圧倒的に多い。
 そこでは、登山者や入山者の目的が単に登山を目的としているだけでなく、自身の健康、山の文化や歴史、さらには人類にとっての歩行の意味から、登山道の歴史的意味に言及している原稿もあり、登山文化の多様性を表しているともいえる。
 また、入山料の徴収、登山道の開発施策や機械化の導入など、経済面や政策面、技術面、さらには文化面から、登山道の整備や維持管理に言及しているレポートも目を引く。ここには、単に登山道という1つの施設を論じるというよりも、登山道での問題・課題を通して、山岳地、あるいは登山・入山がどうあるべきかについて意見し、論じているというふうに受け取ることができるのではないかと思われる。

まとめ

 本稿は掲載されたレポートをごく大雑把に分類整理し、多少の読み違いや分野の重なりも大胆に捨象して、全体の傾向をつかむことに重点を置いて集計し、分析していることとご理解ください。したがって、個々の数値的な正確性よりも、登山道のどこについて、誰が、どんなことに関心を持っているか、を理解するための参考という程度に読み込んでいただければと願っています。
 実際は第2集で述べられたレポートをしっかりと読んでいただき、今後の登山道、ひいては、山や登山の在り方を考えるうえで、参考にしていただきたいと切に願っています。実際、掲載した原稿は、現場でも検討の場でも役立つ、意味深い珠玉の作品ばかりと確信しております。
 ここに本報告書の内容を紹介するにあたり、原稿を寄せていただいた方々、編集・整理・出版に力を貸して下さった方々に改めて深く感謝申し上げます。

***第2集報告書を頒布中です。 また「登山道」に関するご意見や投稿を募集します***

登山道法研究会では、この度、『めざそうみんなの「山の道」-私たちにできることは何か-』という報告書を刊行、頒布しております。ご希望の方は「これでいいのか登山道第2集入手希望」として、住所、氏名、電話番号を記載のうえ、郵便またはメールにてお申し込みください。
●申込先=〒123-0852 東京都足立区関原三丁目25-3 久保田賢次
●メール=gama331202@gmail.com
●頒布価格=実費1000円+送料(370円)
※振込先は報告書送付時にお知らせいたします。

報告書の頒布は、以下のグーグルフォームからも簡単にお申込み頂けます。
報告書申し込みフォーム

先に刊行致しました「第1集報告書」は在庫がございませんが、ほぼ同内容のものが、山と渓谷社「ヤマケイ新書」として刊行されています。
ヤマケイ新書 これでいいのか登山道 現状と課題 | 山と溪谷社 (yamakei.co.jp)

また、このコーナーでも、全国各地で登山道整備に汗を流している方々のご寄稿なども掲載できればと思います。
この記事をご覧の皆さまで、登山道の課題に関心をお持ちの方々のご意見や投稿も募集しますので、ぜひご意見、ご感想をお寄せください。
 送り先=gama331202@gmail.com 登山道法研究会広報担当、久保田まで

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