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みちのくの高山植物(10)北国の使者
2023.09.15
みちのくの山野草探報者「モウズイカ」さんからのレポート第10回です。
今回このシリーズ「みちのくの高山植物」の最終回になります。
元々、日本列島や近隣の東アジアに有った種類で高山に住みついたものもありますが、北の国からやって来たものも多くありました。
それらは、元々、シベリアやカムチャツカ半島などに有ったものが、サハリンや千島列島を伝わって、まずは北海道に入り込んだのでしょう。
この中には遠く北アメリカ(アラスカ)に生えているものも有りました。
これら北国に起源の有るものは、寒冷な時代に日本の本州中部地方まで南下しましたが、
途中の東北地方で踏みとどまったものも幾つか有りました。
要するに、日本アルプスなど中部山岳には無いけれども、北海道と東北では見られる花のことです。
その種類数は思ったよりも少なかったのですが、花はよく目立つものばかりでした。
本頁では、そういった北国からの使者、東北地方の山を南限とする花たちを
三種類ほどピックアップしてみました。
その種類数は思ったよりも少なかったのですが、花はよく目立つものばかりでした。
本頁では、そういった北国からの使者、東北地方の山を南限とする花たちを
三種類ほどピックアップしてみました。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『エゾツツジ属 Therorhodion はツツジ属 Rhododendron に近縁で、しばしばツツジ属として扱われるが、長い花序があり、大きな苞が果期まで残り、大きな萼片があるなどの性質はツツジ属には見られない特徴である。
東アジア、アラスカの寒帯~亜寒帯に三種ある。
エゾツツジ Therorhodion camtschaticum は、(一部、略)北海道、本州(東北地方北部)、千島列島、カムチャツカ半島、シベリア、アラスカに分布する。
美しい花をつける植物であるが、北海道以外での栽培は難しい。』とありました。
この花、東北では八幡平から岩手山、秋田駒ヶ岳、和賀山塊に分布していますが、
不思議なことに分布のほぼ南限にあたる秋田駒ヶ岳には異常なまでに多く生育しています。
ここでは主に岩の多いエリアに、ミヤマダイコンソウ(花は黄色)と一緒に特異な花風景を形成していました。
北海道での生育状況では、大雪山で見たものは背丈がとても低く、何やら花だけ植物のような感じでした。(PDF参照)
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『本州北部、北海道に見られ、千島列島、サハリン、カムチャツカ半島、シベリア北部、アリューシャン列島に分布する。和名は「岩袋」また北海道の樽前山に多いので、タルマイソウとも言う。』とありました。
この花、東北では、八甲田山、岩手山、秋田駒ヶ岳、鳥海山に分布していますが、
エゾツツジ同様、南限にあたる鳥海山では優勢でした。
本州の山地でよく見かけるマルバダケブキに似ていますが、
それよりもやや小型で、頭花の基部に苞葉があるので、すぐ識別できます。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、『北海道、本州(東北地方)に分布する。
なおサハリン、千島列島、北海道には、総苞に暗褐色の毛があるカラフトトウゲブキ var. achalinensis が分布する。』とありました。
東北地方では、山形県の月山以北の高山に分布しますが、秋田の男鹿半島や青森では低山や海岸近くにも生育しています。
鳥海山のトウゲブキの群生((PDF参照)
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