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山の日レポート

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通信員レポート

【福井市】足羽山のアジサイ

2025.06.12

全国山の日協議会

福井市自然史博物館 学芸員 柴田あかりさんのレポートです

福井市の低山、足羽山(あすわやま)
福井駅から南西に30分ほど歩いたところに標高116.4mの足羽山があります。動物園、自然史博物館、神社や茶屋があり、車でも登ることができるため、お子さんからお年寄りまで多くの方が訪れます。春にはサクラやカタクリ、初夏にはアジサイ、秋には木の実が山を彩り、手軽に四季の自然を楽しむことができます。これからは新緑が美しい初夏の季節、ということで足羽山のアジサイを紹介します。



足羽山のアジサイ

アジサイにはいくつかの種類や品種があります。足羽山にはエゾアジサイとコアジサイが自生しています。
エゾアジサイは、小さな花がたくさん集まった周りを装飾花(そうしょくか)が取り囲んでいます(写真1)。この装飾花は花ではなく、がく片が変化したものです。小さな花を目立たせて昆虫を呼ぶための飾りであり、種子を作るという機能を持ちません。

(写真1)装飾花でアピールするエゾアジサイ

一方のコアジサイは装飾花を持たない代わりに、良い香りをさせて昆虫を呼びます(写真2)。植物は様々な工夫をして昆虫を呼び、他の株へと花粉を運んでもらい、種子を作ることで子孫を残しているのですね。

(写真2)香りの良いコアジサイ

足羽山では、これら二種に加えて園芸品種のアジサイとガクアジサイもたくさん咲きます(写真3、4)。皆さんがアジサイと聞いて想像されるのはこちらだと思います。園芸品種のアジサイは、ガクアジサイを原種とする、装飾花のみを付ける品種です。このアジサイは装飾花のみなので種子を作ることができません。私たち人間が挿し木によって増やすことで、ここまで繁栄しています。

(写真3)装飾花のみのアジサイ

(写真4)エゾアジサイよりも葉につやがあるガクアジサイ

足羽山を歩いてみよう

足羽山は気軽に散策できる、市民にとって身近な山です。5月中旬にコアジサイ、次にエゾアジサイ、アジサイとガクアジサイは6月初旬に開花します。コアジサイとエゾアジサイは少し日陰になる林で、アジサイとガクアジサイは車道脇や神社、自然史博物館の近くで見ることができます。アジサイの種類や花と装飾花の違いを気にしながら、初夏の足羽山を歩いてみてはいかがでしょうか。



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