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山の日レポート

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通信員レポート

シーサーと狛犬の関係は? 沖縄へ来ています!

2023.07.20

全国山の日協議会

三輪主彦さんが沖縄のシーサーに関しての楽しいレポートを送ってくれました

狛犬愛好家としては、沖縄のシーサーと狛犬との関係をどうしても知りたくなって先日から那覇周辺をうろうろしている。最初に波上宮に行った。沖縄の総鎮守いわゆる琉球国一宮だ。ここには日本の寺社で見るのとは違う狛犬がいる。狛犬と思っているのは私だけで地元ではもちろんシーサーである。シーサーは漢字で書くと「獅子」、狛犬も昔は「獅子狛犬」と呼んでいたがせっかちな江戸の人が「狛犬」と縮めてしまった。文化庁では「獅子狛犬」が正しい呼び方としているが一般人は相変わらず「狛犬」と称している。

沖縄を案内してくれた友人は「このシーサーは日本の狛犬をマネて沖縄風にアレンジしたものだ」という。もともとは対になった獅子だったが、日本風に阿吽の形に変化した。日本では最初は木製の狛犬で室内に置かれたが、江戸時代には石造りになって外に置かれた。沖縄でも琉球石灰岩の狛犬があったが今はほとんどが壺屋などで焼かれた焼き物だ。阿吽は日本風だがその他は沖縄独自の発展をとげており今やシーサーはほとんど芸術品の域に達している。
土産品の狛犬は聞いたことがないが沖縄の焼き物シーサーは大人気で、東京の住宅地の玄関門柱に配置している家もある。外国人にも人気で、海外でシーサーを見る機会もあるかもしれない。

古いシーサーが与那原の観光案内地図に載っていた。友人も見たことがないというので与那原にいった。ここには昔の軽便鉄道(ケイビン)の駅舎が復元されている。暑さと旧駅舎の魅力で我が家の奥さんは歩くのを渋ったが、私はシーサーが気になって地図の場所を探し歩いた。
住宅地の交差点の角ごとに琉球石灰岩で作った石像を4体ほど見つけた。地元の人は古いシーサーで石獅子というと教えてくれた。大発見をした気分で駅舎にもどって奥さんに報告すると「アッそう」、少々拍子抜けした。趣味を異にする人に私の感動を無理強いすることはできないなぁ。

与那原のシーサー(石獅子)は一対ではなく単独だった。高さは1mほどでなんとなくゴリラに似ているが、ちょっと愛嬌がある。長くこの場所にあったのかあるいは沖縄の植物の成長が早いのか一頭の石獅子は道路角の植物に頭をふさがれていた。ちょっと迷惑そうだなぁ。

翌日首里城近くの玉陵(タマウドゥン)に行った。アメリカ軍の艦砲射撃で破壊された玉陵は復元され世界遺産、国宝となった。琉球王の墓の上に単独の石像が3体あり、シーサーと呼ばれている。琉球では最も古いシーサーらしい。与那原で見た琉球石灰岩の白いシーサーに比べ玉陵シーサーは硬く古い緑色の岩石で作られており、さらに得体のしれない姿をしている。とても同じものとは思えないが共に沖縄の古い形式のシーサー(石獅子)なのだろう。

まだ数日の滞在だが、「沖縄のシーサーと日本の狛犬ではかなりの違いがある」と思い始めた。「単独か対か?」という違いは大きい。日本の狛犬は寺社の私的門番であるが与那原の単独シーサーは地元民の火伏のお守りということでその役割もだいぶ違うようだ。
日本の狛犬は私的存在だが沖縄のシーサーは公共性をもつ。たかが狛犬シーサー見物だがなかなか興味深い話ができそうだ思った。

明日は沖縄の対になったシーサーを見に行こう。上の写真は国際通りの両側に配置されたシーサーで、東京のテレビでは沖縄と言えばこの二頭が出てくる。ここは国際通りという沖縄の代表的な場所である。この大切な場所を守る、すなわち大いに公共性をもつという狛犬である。近年は個人住宅の屋根に置かれた魔除けのシーサーをよく見かける。しかしもともとの沖縄のシーサーは地域の火伏や魔除けの役割を担っていたのだ。

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