山の日レポート
通信員レポート
スプリング・エフェメラルの花筵
2023.04.01
※モウズイカさんプロフィール
秋田市在住。2017年からリタイア年金生活。
主に花や景色を見るのが目的で東北地方の山を歩いてます。
その記録や花への思いなどをブログに綴っております。
モウズイカさんから高山植物のレポートがありました。
▲▲▲
花は一輪でも美しいものだが、いっぱい集まって咲いてたら、
更に美しく、愉しい気分になってしまう。
日本の自然界で見られる花の集団、しかも綺麗なものとなれば、
高山のお花畑が浮かぶが、
私のように時間や体力の無い者はなかなか見に行けるものではない。
もっと身近なところで見られるお花畑は無いだろうか。
実は・・・( ̄π ̄;有るのだ。
場所は意外にも人里に近い低山。雑木林の下や沢筋などに特定の季節にだけ現れる。
その規模は北国や雪国に行くほど大きくなり、個々の花も元気に咲く傾向がある。
お花畑の出来る時期は、雪が融けて数日後から桜の咲く頃までの約半月間。
この限られた期間に、あっという間に芽を出し、葉を広げるよりも素早くよく目立つ花を一斉に咲かせる。
だから綺麗なお花畑が突然現れたように感じるのだが、
花が終わると、後から生えてきた丈の高い草や木に覆われてしまい、変哲の無い草藪になってしまう。
この花達の多くは花が終わるとすぐに実をつけ、わずか一ニヶ月後には葉も茎も融けてしまう。
斯様な慌しい人生(?)を繰り返す一群の植物を、
スプリング・エフェメラル Spring ephemeral(春の妖精 or 蜻蛉、春植物)と言う。
スプエフェ(スプリング・エフェメラルの略)の代表と言えば、
誰もがカタクリの名を挙げるが、
秋田や岩手のような北国では、カタクリと並んで、
或いはそれ以上にキクザキイチゲ(キンポウゲ科)の姿を見かける。
花色は白と薄青紫の2タイプあり、
場所によっては、混生したり、花筵を敷いたように群生したりと、なかなかみごとなものである。
色違いは園芸植物では当たり前のことだが、野生植物では珍しい。
カタクリとキクザキイチゲがほどよく混じっている花筵シーンを紹介。
こんな綺麗な花筵の中で、おにぎりを食べたらさぞかし美味しいだろなと思う。
しかし座るときは、( ̄π ̄;要注意。
冬眠から覚めたニョロニョロが彼方此方で日向ぼっこをしている。
そろそろカタクリに焦点をあててみよう。
この林はボランテアが定期的に笹刈りをしている。
カタクリの群生を維持するにはある程度、人手が必要と見た。
カタクリは単品、クローズアップでも十分絵になる。
カタクリの群生と言えば、仙北市西木地区が有名だ。
このカタクリ群生地はクリの栽培地。
立派なクリを育てようと笹や下草を刈り、堆肥を与えていたら、
いつのまにかカタクリが増えて花筵になったと聞く。
したがって、この地のカタクリ群生は完璧に人為的なものと言える。
西和賀(岩手県)にもそういう場所がある。
カタクリは圧倒的な群生も素晴らしいが、疎らに楚々と咲く姿もいいものだ。
RELATED
関連記事など