山の日レポート
通信員レポート
「山の天気ライブ授業」
2022.10.20
栃木支部は「日本山岳会創立120周年記念事業」の一環として、10月1日(土)2日(日)に、山岳気象予報士の猪熊隆之氏による「山の天気ライブ授業」を開催しました。
1日目は、栃木県塩谷郡塩谷町にある閉校になった学校をそのままに宿泊や田舎体験のできる施設とした「星ふる学校くまの木」で座学を行いました。
参加者は、支部会員8名、一般参加者13名の計21名でした。
猪熊講師の122枚に及ぶスライドを使った、大変分かり易く、説得力のある百戦錬磨の話術によって、参加者は、時間が過ぎるのを忘れさせられました。
講義は五つのパートで構成されていました。
1.山の天気のキホン
2.もっとも怖い気象遭難・低体温症の事故
3.落雷と局地豪雨から身を守る
4.栃木県の気象遭難
5.気象遭難を防ぐための方法
イントロ部分での『天気予報を利用している人が遭難している』というのには驚かされ、これまで雨が降るか降らないか天気予報しか見ていなかったことを反省しました。
「山の天気のキホン」では、天気図の等圧線の向きと間隔から風向と風速の読み取り方を豊富な事例を使って分かりやすく教えていただきました。
雷の話は、栃木県が落雷の多いところであり、山の上だけのことではないので、皆さん熱心に聞いていました。
あまりに熱のこもった講義によってやや時間が押してしまい、最後の方はやや駆け足になってしまいましたが、全体として皆さんが分かっているようでわかっていないこと、分かっているけど行動に移せていないことをたくさん学ぶことができました。
スライドに出てくる山や雲の写真がきれいだったことも印象的でした。
2日目は、栃木県県民の森に車で移動し、そこからミツモチ山(1248m)に登りながら実習を受けました。
まず、猪熊講師から観天望気の説明を受けてから、ミツモチ山へ向けて出発しました。
この日は、無風快晴のあいにくの(?)天気になってしまったため、いろいろな雲を見ることはできませんでしたが、空の様子を見るにあたっての留意事項やミツモチ山の後ろに控える高原山の気候の特色などの話を聞きながらゆっくりと登山しました。
ミツモチ山の山頂近くは、林道を抜けていく道となり空も開け、飛行機雲がくっきり、更には遥か天空には巻雲が幾筋か現れました。
雲を観察する会なので、講師も思わず歓喜の声をあげられ説明にも気合が入りました。山登りに来ていて、雲がないことにがっかりし、雲を発見して感動するとはめったにないことです。
山頂直下の広場で昼食をとりながら山の天気談義をした後、山頂を後にしました。
最後になりましたが、猪熊講師には、お忙しい中、栃木支部のために時間を割き、ご講義くださいまして誠にありがとうございました。
■日本山岳会栃木支部 菱田克彦様から「山の天気ライブ授業」レポートが届きました。
山岳気象予報士の猪熊隆之さんは山の日アンバサダーとしてもご活躍いただいております。
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