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山の日コラム

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通信員コラム

千走川右股雪渓~狩場山(1520㍍)=2022年5月22日

2022.05.23

山の日通信員
日本山岳会北海道支部
黒川伸一

山腹の光景

北海道南部、渡島半島の最高峰、狩場山。島牧村の千走川流域では、標高500~650㍍周辺には北限に近いブナ林が分布する。芽吹いて1週間~10日くらいのブナの森は明るい。眩いばかりの新緑の中、13人で、賀老高原林道からブナ林を抜けて千走川右股雪渓を使って山頂を往復する。山腹の豊かな森がこのルートのいいアクセントになっている。

北限に近いブナ林を行く

千走川右股雪渓

狩場山は日本海側から吹き付ける冬の北西風を受け、東側斜面に大量の降雪をもたらす。緩斜面から急斜面になる千走川右股源流部分には大量の積雪が溜まる。木立が皆無に近いこの源流斜面が厳冬期、雪崩斜面となっていることは容易に想像される。雪渓崩壊前のこの時期、この雪渓は山頂往復の絶好の雪斜面を供してくれる。

標高820㍍付近から雪渓がようやくつながり、ボトム脇を進む。

急傾斜帯

これまでいろいろなルート取りをしてきたが、山頂への最短ルートは、ここを通過するのが最も効率的だ。雪渓は標高1100㍍を過ぎると、一気に傾斜が増す。雪渓にジグを切って、標高を上げる。この「喉」部分は毎年、クレバス、ヒドンクレバス、シュルンドが口を開ける。

この上が毎年、クレバスが数段にわたって現れる一帯。今年は残雪が多く、クレバス、シュルンドも浅かった

直上ルート

スキーでジグを切っても行けるが、この日は気温が高いので雪が柔らかく、キックステップで、山頂直下、cont.1400㍍までは直上するのが効率的だったかもしれない。

緩斜面手前、最後の急傾斜帯を行く

山頂

狩場山頂、1520㍍で、憩いのひとときを過ごす。一等三角点を掘り出す。名物の山頂鳥居は今年も雪の下に隠れていた。

山頂ランチ、長休憩、滑降準備の時間

大滑降

山頂から、林道まで標高差900㍍の滑降は変化に富む。緩斜面、幅広な急斜面、ダケカンバの新緑帯、ブナ林帯。次から次へと変化する光景に癒される。

雪質は完全なザラメ雪。エッジが切る音が心地よい。

〆はブナの森

ブナ林を歩いて下山に向かう。

林道までブナの森を行く

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