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山の日レポート

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通信員レポート

SAFE, SUSTAINABLE, SHARE! —つくばトレイルガーディアンズの活動—

2022.01.11

山の日通信員
全国山の日協議会広報担当理事
久保田 賢次

つくばトレイルガーディアンズの活動をしている筑波大学芸術系の原忠信先生に綴っていただきました。

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人はなぜ山に登るのか。世の中が便利になればなるほど、人は山に惹かれるのではないか。重力に逆らってカラダを持ち上げる、悪天候などコントロールできない自然との対峙、野外調理や寝床の確保。私たちは好んで面倒なことをしに野外フィールドに向かう。

山は格別だ。美しい景色の中で自然に挨拶も交わされ、さながらマイクロユートピアだ。では、どんなとき山が楽しくないのだろう。私たちの活動する筑波山では、ゴールデンウィークや紅葉の季節に、とんでもない混雑に巻き込まれることがある。駐車場まで数時間かかり、さらに登山道も大渋滞。トイレに行きたくても、どうにもならないことも・・。そんな経験をしたら筑波山が大嫌いになるばかりか「もう二度と山なんていくか!」という登山レジスタンスになりかねない。

普段の筑波山は、低山ながらブナ林や奇石が楽しめるいい山だ。課題が解決されれば、さらに素敵な山になるはずだ。他にも改善できることや、活かすことのできるポテンシャルがあるのではないか。そんな想いで、2018年に「筑波山・霞ヶ浦広域エリア観光連携促進事業」のメンバーが集まった。プロジェクト開始時にワークショップを実施し、筑波山の特徴を次のようにまとめた。
・シェア:筑波山は、登山・ハイキング・トレラン・自転車・お参りなど、様々なアクティビティを楽しむ人が集まるみんなの山。
・マルチアクセス:筑波山は山頂を中心に、登山道や鉄道(ケーブルカー・ロープウェイ)が放射状に伸び、それらの起点が環状に結ばれている。
そこから「Share the Trail(山道共有)」というコンセプトが確立された。

マルチアクセス概念図

つくば市側にビジターが集中しがちだが、石岡市の東筑波ハイキングコースは沢を3つ超える楽しいトレイルで、桜川市の薬王院コースは急登のあるタフなコースだ。あまり知られていない魅力の情報発信やマルチアクセスが一目でわかるマップ制作など、課題解決に向けたさまざまなミッションが明確になっていった。その他にも、登山道や標識の整備、ウェブサイト とフリーペーパーによる筑波山メディアの開発、マイクロツーリズムの設計と実証実験、新しいおみやげの開発などが展開された。筆者は、筑波山のロゴマークのデザイン、統一サインの設計とそのガイドライン の策定を担当した。

公式ルートの距離を活用して双峰を図案化したロゴマーク

ロゴマークは10本の公式ルートを表す紫の線を組み合わせ、紫峰・双峰のカタチとマルチアクセスのコンセプトを表している 。紫色のサインは緑が多い山の中で視認性・誘目性が高く「ちゃんと正規ルートにいるよ、安心していいよ」と登山者に語りかけるイメージだ。サインには各ルートに対応したコース番号と、レスキューポイントが表記されていて、登山者の現在地特定に役立てる設計だ。

コース番号とレスキューポイントが表記されたサイン

事業で出会ったメンバーが中心となり「 つくばトレイルガーディアンズ (以下、TTG)」 をつくることとなった。登山道のメンテナンスが主な活動であり、筑波山の3S(セーフティ、サスティナブル、シェア)の実現を目指している。今年度は株式会社ターバン、フラー株式会社らとコンソーシアムを組み、「茨城県DXイノベーション推進事業」の選定を受けてMount Tsukuba App 筑波山登山アプリの開発 を行っている。登山届の提出、マップでの現在地表示、日の入り時刻表示などセーフティに寄与する機能の他、登山したコース上に設置されたビーコンに反応して、各コースのバッジが集められる機能や、撮影した写真にVR(拡張現実)フラッグを立てられる機能など、登山の裾野を広げる楽しい機能が充実している。アプリ上のバッジは、山麓の協力拠点にてリアルな缶バッジと交換することもできる。未踏破のコースを登るための再訪問を促し、山麓の観光施設に足をのばしてもらうねらいもある。本アプリは、2021年11月のローンチと同時に実証実験を開始した。その結果はアプリの改善に活かす予定だ。

Mount Tsukubaアプリ

11月から12月下旬の実証実験中にアプリ経由で提出された登山届は401件。2ヶ月弱で昨年の約半年分にあたる届けを受け付けたことになる。登山届のデータは警察に渡る。将来はデータの活用によって、消防による下山困難者の位置特定、混雑緩和に向けた解決の緒を探すことが可能なのではないかと考えている。 筑波山は一見独立峰のように見えるが、北側には八溝山地の山々が連なっている。「茨城県北ロングトレイル」 のロゴをデザインした際、統一感を意識して筑波山のロゴマークと同じ書体を用いた。筑波山でのサイン資材は、県北ロングトレイルで使われているものと同じものを輸入元の信越トレイルから取り寄せて使っている。茨城県全域で山のサインが整備され、筑波山から県北ロングトレイルまで安心して縦走できる日がくるかもしれない。そんなことを考えてワクワクしている。 山は楽しい。TTGの活動も、楽しむことを意識している。会議は山道を歩きながら行う。クリーンハイクを「クリーンパーティ」と呼ぶこともある。楽しければ友人・知人を誘いやすいし、頑張りすぎて燃え尽きることの予防にもなる。コロナの状況にもよるが、2022年1月下旬から、各コースのサイン設置を本格化する予定だ。興味のある方は、ぜひご一緒に!
※TTGへのお問い合わせは、サイト下のリンク、または、インスタグラムからDMをお願いいたします。  

つくばトレイルガーディアンズ(TTG)インスタグラム   

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