山の日レポート
自然がライフワーク
『車窓景観』前半 仙台から東京に向う新幹線からの車窓景観
2022.01.03
名古屋大学名誉教授で人文地理学専攻の溝口常俊さんに綴っていただきました。
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登山は出来なくても「山」を楽しむことができるのが、車窓からの山見学である。
車窓景観写真をいくつか載せておこう。
前半は、深田久弥にも出ていただいた高畑ニュース#1496(2015春、東京、日大での日本地理学会)2015.4.13の抜粋。
後半は石川啄木が登場する高畑ニュース#1758(第61回歴史地理学会⑦花輪線)からの抜粋。
2015年3月26日早朝、三陸巡検を終えて、仙台から東京に向う新幹線からの車窓景観は抜群であった。
写真1は白石蔵王駅から見た蔵王山(1841m)。
この山容をみて深田久弥は『日本百名山』の中で「東北人特有の」と次のように表している。
「同じ東北の山でも、蔵王には、鳥海や岩手のような独立孤高の姿勢がない。・・・だからわれわれが蔵王と呼ぶ時には、この一連の山脈を指して言う。この長大な尾根は、東北人特有の牛のような鈍重さをもって、ドッシリと根を張っている」。
「牛のような鈍重さ」といわれては東北人も頭にくるであろうが、「ドッシリと根を張っている」とフォローされているので、挙げたこぶしも下ろすことができよう。この褒め方はいい。これから鈍クサイ人と出会っても、批判はせずに、ドッシリと根を張っている姿を学ぶことにしよう。
写真2は写真1の左半分を200mm望遠で写したもので、宮城側蔵王スキー場のコースがみえる。鈍重さの中にパラダイスありですね。
写真3は福島市街地越しにみた吾妻山連山。
ここにも飛びぬけたピークはないが、左手に富士山型の小山がみえたので、200mmの望遠レンズ覗いてみた(写真4)。
福島市のガイドブックに吾妻小富士(1707m)と出ていた。よく見ると山容の右半分に「雪うさぎ」の雪絵が出ていた。福島市民に春の訪れを知らせる風物詩になっており、かつては農民が苗代に種をまき始めたので「種まきうさぎ」とも呼ばれたそうだ。春山登山は危険でできそうもないが、雪絵写真撮り旅行ならいいかも。
『車窓景観』後半 JR花輪線に続く
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