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山の日レポート

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通信員レポート

みごとな海上の山「利尻岳」

2021.12.21

全国山の日協議会

【連載:TM山ニュース#1】名古屋大学名誉教授 溝口常俊

「山の日」会員で名古屋大学名誉教授人文地理学専攻の溝口常俊さんに綴っていただきました。溝口先生の「TM山ニュース」の連載がスタートしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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今回から「全国山の日協議会」のエッセイ集に投稿するにあたって、発信元を「TM山ニュース」(TM: Tsunetoshi Mizoguchi)とし、通し番号と題目を付けることにしました。まずは、2005年7月から名古屋大学での地理学講義の補足用に書き出した日記(高畑ニュース)の再発信版です。
初回は高畑ニュース#181(日本百名山)2006.6.2からです。15年前のこの日記を思い出したのは、「山の日協議会」HPの「山の日ネットワーク」の石川県加賀市版で「深田久弥」を目にしたからです。

出会い

 私が学生時代、茅ケ岳山麓の韮崎市穂坂町で村落調査をしていた頃、ある山岳小説家が茅ケ岳山頂付近で亡くなったとのニュースが入った(1971.3.21)。『日本百名山』の著者、深田久弥氏であった。その年の夏休みにお世話になっていた法泉院の奈津ちゃんと潤君を連れて茅ケ岳に登った。深田氏の終焉の地を弔う登山であった。標高1,721m。文字通り茅が多く、茅をかき分けて登った記憶がある。
 という出会いで、『日本百名山』は私の愛読書の一つになった。学生時代、暇を見つけては山に登っていたので、深田氏選定の百山のうち半分は登頂しただろうと、数えてみたら僅か23座に過ぎなかった。それを北から順に拾ってみると、北海道、東北、関東の山々へは一度も出かけていなく、最初に登場するのが45番目の白馬岳で、以下、46)五竜岳、47)鹿島槍岳、48)剣岳、49)立山、50)薬師岳、57)笠ヶ岳、59)乗鞍岳、60)御岳、61)美ヶ原、62)霧ヶ峰、64)八ヶ岳、69)瑞牆山、72)富士山、74)木曽駒ヶ岳、76)恵那山、77)甲斐駒ヶ岳、78)仙丈岳、80)北岳、81)間ノ岳、87)白山、89)伊吹山、97)阿蘇山である。

日本百名山の写真撮影

 世間では深田氏の百名山制覇を目指している人が多い。若いとき一時完全制覇をしてみようと思ったが、時間と体力を考えるとこれから77山は無理である。
 でも、この夏、日本百名山の写真撮影なら、と思った。徒歩でも、列車からでも、空撮でも、ピークが撮影できたら合格、という条件なら出来そうである。というか、「山の頂は神聖である。神が宿るピークを私の汚れた足でけがすのはとてもできない」という名言を思いつき、本当の山を愛する山男はこうでなくては、と悦にいっている。
 こう決心して最初に撮影したのが「日本百名山」の第1番の山、利尻山(写真1~5)である。まずは、深田氏の解説の冒頭部分を抜き出してみよう。

写真1 鴛泊ペシ岬からの利尻岳

みごとな海上の山

 「礼文島から眺めた夕方の利尻岳の美しく烈しい姿を、私は忘れることが出来ない。海一つ距ててそれは立っていた。利尻富士と呼ばれる整った形よりも、むしろ鋭い岩のそそり立つ形で、それは立っていた。岩は落日で黄金色に染められていた。島全体が一つの山を形成し、しかもその高さが千七百米もあるような山は、日本には利尻岳以外にはない。九州の南の海にある屋久島もやはり全島が山で、二千米に近い標高を持っているけれど、それは八重岳と呼ばれているように幾つもの峰が群立しているのであって、利尻岳のように島全体が一つの頂点に引きしばられて天に向ってはいない。こんなみごとな海上の山は利尻岳だけである。」参考までに、写真6は「全島が山」の屋久島。
 こんなみごとな海上の山の写真をいくつか紹介しよう。9/16から9/19に稚内→利尻島→礼文島→稚内の旅の中で撮影したものである。時は、九州に大被害をもたらしたのち北海道に向かっているという台風13号の余波で天候不順。そんな中でキャッチした数々である。

写真2 ぺシ岬からのご来光

写真3 オタトマリ沼からの利尻岳

写真4 利尻島から礼文島に向かうフェリーからみた利尻岳

写真5 礼文島手(て)然(しかり)からみた利尻岳(台風13号直撃)

写真6 日本百名山の100番目の山:屋久島の宮ノ浦岳(1935m)(97.8.24に船上から撮影)

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