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上高地トレッキングと奇跡の再会

2026.09.17

山の日アンバサダー
三菱商事株式会社所属 プロスポーツ選手
高橋 勇市(全盲)

山の日アンバサダーの高橋勇市(全盲)さんの登山レポートです

【日時】 2026年8月8日(土)

早朝6時31分、松本駅から上高地線(アルピコ交通)の始発電車に乗り込み、新島々駅を経由してバスで大正池へ。
到着してびっくり、右を向いても左を向いても「人、人、人!!」
の大ラッシュ。通勤ラッシュも顔負けのラッシュ地獄 地獄やで!!。
バスも次から次へと押し寄せてきます。
マイカー規制から更にバス規制も行わないといけないほどのバスの数です。

2026年 8月 8日 土曜日 新島々

大正池に流れ込む湧き水のさらさらという風情ある清流音も、飛び交う人々の大歓声に見事にかき消されるほどの大盛況ぶりです。
大正池の木々の間には「熊鈴」が設置された木製の案内柱があり、その横で白杖を手に持ちながら立ち止まりました。
熊鈴を1回、鳴らしてみました。辺りに一際大きく鳴り響きます。
この辺は、足元は平坦な砂利道ですが、小石がゴロゴロと敷き詰められており、靴底を通して山の自然な土と石の感触が伝わってきます。
「失敗、白杖を閉まってトレッキングポールにすれば良かった」
路面を甘く見すぎておりました。
凄く反省しております。

2026年 8月 8日 大正池 熊鈴

気を取り直して散策を開始。
アルペンホテルへ向かう道は綺麗に整えられたアスファルトやフラットな散策路で、比較的足取りもスムーズです。
「上高地アルペンホテル」の立派な木製看板の前で一息つき、美味しいホットコーヒーをロビーにていただきました。
「いつか一度でいいからここに泊まってみたいなぁ」なんて贅沢な夢物語を語り合いながらホテルをあとにします。

2026年 8月 8日 土曜日 アルペンホテル

続いてやってきたのは上高地の名所「河童橋」。
足元はしっかりとした木造の橋枠と板張りで、踏みしめると木ならではの温かみとしっかりした安心感があります。
ただよく揺れます震度2位程度でしょうか?
「橋が重みで落ちるのではないか?」と真剣に心配になるほどの超満員です。
上高地と言えば今から10年前の2016年8月11日に第1回「山の日」記念全国大会in上高地が開催された山の聖地でもあります。
「今年は第10回「山の日」記念全国大会岐阜in飛騨高山が高山市で開催されるんだな」と呟きながら熱気あふれる河童橋を渡り、穂高神社 奥宮へと歩を進めました。

2026年 8月 8日 土曜日 上高地の名所「河童橋」

穂高神社 奥宮の大きな木製案内柱の前に到着。
このあたりの足元は大きな丸石や角のある石が混ざり合ったゴツゴツとした砂利道で、白杖でしっかりと路面を探りながら慎重に一歩を踏み出します。
漬物石の様な石が無いのは少し残念な気持ちです。

2026年 8月 8日 土曜日 穂高神社前

無事にお参りを済ませた後は、伝説の山案内人・上條嘉門次で知られる「嘉門次小屋」の見学へ。
小屋の前も大きな木製看板があり、足元は敷き詰められたグレーの細かい砂利です。
かつて足の速さで名を馳せた嘉門次と、新田次郎の小説で有名な孤高の人の主人公の登山家・加藤文太郎。
文太郎の山歩きは嘉門次にそっくりだと言われております。
そんな伝説の登山家たちの歩みに思いを馳せていた、
その時です。
頭上に怪しい雲が広がり、遠くからゴロゴロと雷鳴が聴こえてきました。
「これはやばいっす、急がなきゃ!!」急いて宿を目指して歩を進めます。
木道を縦一列になって「すたこらさっさ すたこらさっさ えれえ こっちゃ えれえ こっちゃ」と歩きます。
「バリバリバリ」と大きな雷鳴が辺りに鳴り響きます。
時すでに遅し、あっという間に激しい大雨に打たれてしまいました。
濡れると滑りやすくなる木道の足元に神経を使いつつも急ぎますが、
傘やレインウェアを宿に置いてきた私に、すかさず師匠が傘を差し伸べてくれました。
その優しさが心に沁み入り、雨なのか感動の涙なのか分からない大粒の水滴で目頭までびしょ濡れになりました。
親戚でも兄弟でもここまでしてくれないのに、心から感謝してます。
「悪夢の30分間」を耐え抜き、本日の宿にたどり着いた瞬間、ぴたりと雨が上がるという漫画みたいな落ちのあるハイキングとなりました。
やはり日ごろの行いが悪いせいですね。反省してます。

2026年 8月 8日 土曜日 嘉門次小屋前

宿泊先であるアルプス山荘は日本山岳ガイド協会が運営する宿です。
お風呂でさっぱりと汗と雨と涙目を流し、温かい畳と木のぬくもりが心地よいお部屋でしっかり下地作り(500ミリが3本)。
はたしてこれが下地作りなのか?もう出来上がっておりました。
18時になったので宿の食堂へと向かいます。
みんなで揃いの浴衣に着替えて、いざお楽しみの夕食です。
食堂のドアを開けて、ぶったまげました。
なんと、私が所属している東京のランニングクラブの仲間たちが、なぜかそこにいるではありませんか。
東京でもしばらく会っていなかったのに、まさかこの上高地の山小屋の食堂で再開できるとは驚きです。
テーブルには美味しそうなメインのお肉料理や小鉢がズラリと並び、思いがけない嬉しいサプライズにテンションも最高潮です。
「今夜も」ついついお酒が進んでしまいました。
明日も朝が早いというのに、さて無事に起きられるでしょうか?

2026年 8月 8日 土曜日 アルプス山荘夕飯

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